引きしろふ(読み)ヒキシロウ

デジタル大辞泉 「引きしろふ」の意味・読み・例文・類語

ひき‐しろ・う〔‐しろふ〕【引きしろふ】

[動ハ四]
互いに引き合う。引っ張り合う。また、強く引く。
「乳母二人が中に此の児を置きて左右さう手足しゅそくを取りて―・ふ」〈今昔・二七・二九〉
引きずる。
「物も着あへずいだき持ち、―・ひて逃ぐる」〈徒然・一七五〉
引き連れる。
「つぎざまの人どもはさのみ―・ふに及ばねば」〈平家・七〉
引きのばす。
「禍が五世まで伝はりて―・うたぞ」〈史記抄・亀策伝〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「引きしろふ」の意味・読み・例文・類語

ひき‐しろ・う‥しろふ【引しろう】

  1. 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙
  2. 互いに引きあう。引っぱりあう。引き争う。
    1. [初出の実例]「脱がじとすまふを、とかく、ひきしろふ程に、ほころびはほろほろと絶えぬ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)紅葉賀)
  3. 強く引く。むりに引く。
    1. [初出の実例]「小さき稚児、這ひかかり、ひきしろへば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕霧)
  4. ひきずる。
    1. [初出の実例]「物も着あへずいだき持ち、ひきしろひて逃ぐる」(出典:徒然草(1331頃)一七五)
  5. 引き連れる。
    1. [初出の実例]「大臣殿以下妻子を具せられけれ共、つぎざまの人共はさのみひきしろふに及ばねば」(出典:平家物語(13C前)七)
  6. 引っぱって連れまわす。引きまわす。
    1. [初出の実例]「敵にさがし出され、義朝の女(むすめ)よなど引(ヒキ)しろはれ」(出典:金刀比羅本平治(1220頃か)中)
  7. ひきのばす。ひき続かせる。あとへ続かせる。
    1. [初出の実例]「禍が五世までつたわりて、ひきしろうたぞ」(出典:史記抄(1477)一八)

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