引込(読み)ひっこみ

精選版 日本国語大辞典 「引込」の意味・読み・例文・類語

ひっ‐こみ【引込】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 引いて中へ入れること。ひっぱりこむこと。引き込み。
    1. [初出の実例]「あの女に入れ上げて、漸漸内へ引込(ヒッコミ)の、昼も箪笥の環が鳴るといふ世界さ」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)四)
  3. 内にこもって外に出ないこと。また、武士の病気欠勤。
    1. [初出の実例]「義士ども夜討の節は病気にて御引込(ヒッコミ)か」(出典:咄本・室の梅(1789)浪人)
  4. その場や世間から退くこと。また、物事から身をひくこと。事をすませて関係のない身となること。引退すること。また、その人。
    1. [初出の実例]「入道〈略〉牢人の引込(ヒッコミ)はいふに及ばず」(出典:俳諧・類船集(1676)仁)
    2. 「調子をはぐらかされて、引っ込みも進みもならなくなるに違いない」(出典:プールサイド小景(1954)〈庄野潤三〉)
  5. 舞台から役者が退場すること。特に、能や歌舞伎で、役者が退場する際の芸。
    1. [初出の実例]「何かこはいろまがひの引っこみといふ事をいいながら出て行」(出典:洒落本・遊僊窟烟之花(1802か)一)
  6. 損失。食い込み。
  7. 刀の鞘の上覆い。〔日葡辞書(1603‐04)〕

ひき‐こみ【引込】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 引っぱって中に入れること。
    1. [初出の実例]「二十戸くらいしか電灯をつけていない。引き込みに現金がいるからである」(出典:しろうと農村見学(1954)〈桑原武夫〉)
  3. ひそかに金銭などを引き出して使うこと。使いこむこと。
    1. [初出の実例]「此時京の手代六人、申合せて拾両廿両、乃至二貫匁三貫匁はづして、皆藤内が引込(ヒキコミ)にいひたて」(出典:浮世草子・風流曲三味線(1706)二)
  4. 退(ひ)くこと。隠退すること。また、その人。隠居
    1. [初出の実例]「城兵衛と申す町人の手代の引籠(ヒキコミ)」(出典:浮世草子・風流曲三味線(1706)二)
  5. (こうじ)製造で、蒸米を麹室に運び入れること。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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