張札(読み)はりふだ

改訂新版 世界大百科事典 「張札」の意味・わかりやすい解説

張札 (はりふだ)

近世庶民が非合法的要求を記して,人目につきやすい場所に張り出した札。捨訴張訴領主や支配役所に対する訴願であるのに対し,張札,落文(おとしぶみ)は豪農商や村役人層に対する脅迫的言辞を伴った世直しの要求である。放火の予告を伴う火札を目的の家や高札場に張り出すなどがその例で,安政の開港以後町方に多くみられた。幕府は捨訴と同様に無視し,焼却することとしていたが,騒擾や社会的不穏の拡大することを警戒し,届出と町村ごとの取締りや密告調査を強化した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android