翻訳|formalism
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20世紀初頭,集合論における逆理(パラドックス)の出来(しゆつたい)を一つの契機として始まった数学基礎論において,B.A.ラッセルの論理主義,L.E.J.ブローエルの直観主義と並んで,D.ヒルベルトによって主張された立場である。ヒルベルトは,彼の公理主義の立場から,数学を述語論理の中で形式化した。すなわち定理とか証明は一定の法則によって並べられた単なる記号の系列であって,それらの意味は考えないで,その公理的・形式的体系の無矛盾性を有限的,構成的なしかたで証明することが数学の基礎づけの根本問題であるとしてそのプログラムを提出した。しかし,K.ゲーデルによって,1931年,算術以上の数学的内容をもった形式的体系がもし無矛盾ならば,その無矛盾性の証明はその体系の中で形式化されうるようなしかたによっては証明できない(不完全性定理)ことが示され,ヒルベルトの計画の遂行は至難なことがわかった。有限の立場を発展させることによって,36年ゲンツェンG.Gentzen(1909-45)は算術(純粋数論)の無矛盾性を,67年竹内外史は広範な内容を有する解析学の部分体系の無矛盾性を達成した。
執筆者:柘植 利之
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…この意味で,その立場はしばしば半直観主義とも呼ばれる。 形式主義の立場に立つ公理主義者D.ヒルベルトは楽観的な態度をとり続け,数学は何らかのくふうにより,〈そのままの形〉で救えるものと考えた。1920年代後半,彼は数学(例えば解析学)を記号論理の中で形式化して得られる公理的体系を考え,その体系の無矛盾性の証明を有限の立場で行うという基本的プログラム(ヒルベルトの計画という)を提出,みずからもP.ベルナイスの協力を得つつその実行を試みた。…
…これは数学を広義の直観に帰着せしめようとする。第3は形式主義である。形式主義は哲学よりもむしろ数学と直結した数理哲学であって,数学者はほとんどこの形式主義にくみする。…
※「形式主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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