日本大百科全書(ニッポニカ) 「待合(茶会)」の意味・わかりやすい解説
待合(茶会)
まちあい
主として茶会(茶事(ちゃじ))において客が待ち合わせ、身支度を整えるための施設で、寄付(よりつき)、袴付(はかまつけ)、また昔は「一宿(ひとやどり)」とも称された。その配置や形式は一定しないが、通常外露地(そとろじ)の一角に、2~3畳の小室と土間に腰掛をつくり、雪隠(せっちん)を付した小亭を設ける。小室では簡略な床、丸炉(がんろ)とか瓶掛火鉢(びんかけひばち)を備え、湯や香煎(こうせん)を供しうる用意がなされ、持ち物を置く棚がしつらえられることもある。案内があると、客は順次露地に出て腰掛に至り亭主の迎付(むかえつけ)を待つのである。待合を露地に特設しないで、主屋の一室が利用される場合もある。表千家では本玄関のわきの部屋が寄付に使用されている。また裏千家では無色軒(むしきけん)が使われる。仙叟(せんそう)好みと伝えられ、六畳の広さの一畳は板張り、そのわきの一畳に炉を向切(むこうぎり)とし釘箱(くぎばこ)棚を設け、客座側の一間を張付(はりつけ)の壁床としている。
また茶会とは別に、江戸時代から遊興のために客が待ち合わせる待合茶屋の略称としても使われてきた。
[中村昌生]