御下・御降(読み)おさがり

精選版 日本国語大辞典 「御下・御降」の意味・読み・例文・類語

お‐さがり【御下・御降】

〘名〙 (「お」は接頭語)
① 雨が降ること、また、雨をいう女房詞
※婦人養草(1689)五「雨ふる事は おさがりと」
② (御降) 特に、元旦または正月三が日のうちに降る雨や雪をいう。降れば豊年のしるしとされ、めでたいものとされた。《季・新年》
※俳諧・山の井(1648)春「松の内に降(ふる)雨はおさがりといひならはせり」
神仏供物の下げたもの。また、客に出した食物の残り。
大塩平八郎(1914)〈森鴎外〉一二「奉公人は神様に供へるのだらうと云ってゐるが、それにしてもおさがりが少しも無い」
目上の人や兄、姉などからもらう使いふるしの衣服物品。おふる。
※破垣(1901)〈内田魯庵〉一「其上に夫人(おくさん)が気張者(きばりて)でお下りが度々貰へるといふし」
⑤ 主人などのそばから下がること。退出すること。
※人情本・清談若緑(19C中)初「私も頂いた結構なお菓子、〈略〉晩にお下(サガ)りのとき兄さんに御届なすって下さらないか」
⑥ 都会から地方へ行くことを京都でいう。下向
神霊が身体にのりうつること。神おろし。
随筆癇癖談(1791か)上「稲荷のおさがりとて、をりをりうつしまうづる事あり」

お‐くだり【御下・御降】

〘名〙 (「お」は接頭語)
① (「おのぼり」に対して) 都から地方にくだること。また、その人。
祭礼の時に、神輿(みこし)御旅所(おたびしょ)へ渡御すること。また、その祭礼をいう。九州各地で行なわれる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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