デジタル大辞泉
「御内」の意味・読み・例文・類語
み‐うち【▽御内】
[名]
1 貴人の邸内。貴人の屋敷の内部。
「侍ども、―に夜、討ちいったり、とて」〈平家・一二〉
2 殿様。主君。主人。
「―只今機嫌悪しく候と申しければ」〈義経記・七〉
3 将軍の旗下に属する武士。
「御曹司の―にわれと思はん侍ども」〈保元・中〉
4 譜代の武士。
「―、外様の勢四千余騎と注せり」〈太平記・三七〉
5 家臣。家来。
「―に召し抱へられし野夫医者のありけるが」〈仮・浮世物語・四〉
[代]二人称の人代名詞。軽い敬意をもって相手をいう語。あなた。
「花を散らしつるは―でわたり候ふか」〈謡・雲林院〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
み‐うち【御内】
[1] 〘名〙
① 貴人、または、主君の邸内。
※山家集(12C後)下「君住まぬみうちは荒れてありす川いむ姿をも映しつる哉」
② 貴人。また、貴人の奥方。
※義経記(室町中か)七「みうち只今機嫌あしく候」
③ 中世、
武家で譜代関係にある家臣。外様に対する語。
※平家(13C前)九「木曾殿の御内に四天王ときこゆる今井・樋口・楯・禰井にくんで死ぬるか」
④ 鎌倉時代、
幕府の執権北条氏直属の家臣。それ以外の将軍家奉公の
御家人を外様と呼ぶのに対していう。
※日蓮遺文‐崇峻天皇御書(1277)「御内の者にて候間、かくて候とて、びむをもかかず」
⑤ うちに仕える者。家臣。家来。また、組する味方。
※
謡曲・忠度(1430頃)「これは俊成のみ内にありし者にて候」
[2] 〘代名〙
対称。軽い敬意をもって相手をさす語。おうち。
※謡曲・雲林院(1426頃)「花を散らしつるはみ内でわたり候ふか」
ご‐ない【御内】
〘名〙 (「ご」は接頭語)
① お家の中。お宅の内。家内。
※
浄瑠璃・当麻中将姫(1714頃)二「此御内には御内儀さまもなささうで、暫し休らふことさへも、妙なものにて侍ふと」
※正秀宛芭蕉書簡‐元祿四年(1691)正月一九日「御老母様・御内・御むすめ子御無事之よしめで度奉レ存候」
※
随筆・
槐記‐享保一二年(1727)五月二四日「先日より度々、御内にも
御成あり」
おん‐うち【御内】
〘名〙 (「
おん」は接頭語) 手紙のあて名の下に書きそえることばの
一つ。家族全体にあてて出すときに使う。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の御内の言及
【得宗】より
…このときの時頼の権力の根拠は執権職にはなく,得宗という地位にあったものと考えられ,したがってこの時期に得宗専制が成立したと見ることもできる。 得宗家の権力伸張に伴って,その所領は得宗領または御内御領,御内所領と呼ばれて一般所領と区別され,一定の権威を持つようになった。得宗領在地は,初期には一般御家人が代官として支配することもあったが,やがて在地の豪族が代官に起用されることが多くなった。…
※「御内」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」