御寮人(読み)ゴリョウニン

デジタル大辞泉 「御寮人」の意味・読み・例文・類語

ごりょう‐にん〔ゴレウ‐〕【御寮人】

中流町家の娘または若い妻。主として上方で用いられる。ごりょうにんさん。ごりょうはん。ごりょんさん
「ああ、―さん、お出でやす」〈上司・鱧の皮〉
貴人子息息女をいう尊敬語。室町時代以降、特に息女の意に用いる。また、人名に付いて接尾語的にも用いる。御寮
米市―は承り及うだ美人で御座るに依って」〈虎寛狂・米市
[類語]奥方奥様奥さん夫人人妻お上さんマダムミセス令夫人賢夫人内室令室令閨内儀ご新造御寮人ごりょんさん大黒

おりょう‐にん〔おレウ‐〕【御寮人】

《寮に住んでいる人の意から》尼僧敬称

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精選版 日本国語大辞典 「御寮人」の意味・読み・例文・類語

ごりょう‐にんゴレウ‥【御寮人・御料人】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 貴人の息女を敬っていう語。人名または、人を表わす語について接尾語的にも用いる。御寮。
    1. [初出の実例]「神主殿のご寮人は見目形人に勝れ、優しきおん心ばへ並びなきおん方にて候」(出典:謡曲・初雪(1520頃))
  3. 近世以降、中流町家の娘、またはその年若い妻をいう。
    1. [初出の実例]「御料人 ゴレウニン 小女」(出典:延宝八年合類節用集(1680)三)
    2. 「是は御りゃうにん様の不断着」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)一)

御寮人の語誌

( 1 )室町時代には、貴人の息女の意であったが、江戸時代に入って、大名などの息女を姫君というのに対して、諸侍の娘をいった。後に、広く町家にもいうようになったが、若妻をさすようになったのは天保以後といわれる。主として上方で用いられた。
( 2 )鎌倉時代以後、貴人や貴人の子の意に用いられた「御寮」に対して、「御寮人」は室町時代以後、貴人の娘や妻の意に用いた。


ご‐りょん【御寮人】

  1. 〘 名詞 〙 「ごりょうにん(御寮人)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「俵藤太のおむすめ子に、よね市御りょんじゃ、お里帰りじゃといへと云」(出典:天理本狂言・米市(室町末‐近世初))

おりょう‐にんおリャウ‥【御寮人】

  1. 〘 名詞 〙 寮に住んでいる人の意味から転じて、尼僧を敬っていう語。

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