御所(読み)ゴショ

デジタル大辞泉 「御所」の意味・読み・例文・類語

ご‐しょ【御所】

天皇御座所。禁中。内裏。また、天皇を敬っていう語。「京都御所
「―も二位殿抱き参らせて」〈弁内侍日記
上皇三后皇子の住居。また、それらの人を敬っていう語。「仙洞せんとう御所」「東宮御所
親王将軍大臣などの住居。また、それらの人を敬っていう語。
「―(=大塔宮)の落ちさせ給ふものなりと心得て」〈太平記・七〉
[類語]皇居宮城宮中内裏宮廷禁中禁裏畏き辺り王城大内山雲上雲の上九重ここのえ行宮あんぐう

ごせ【御所】

奈良県西部の市。江戸初期には桑山氏の城下町大和絣やまとがすりの伝統を継ぐ繊維工業、大和売薬を母体とする製薬業が盛ん。吉野くず御所柿ごしょがきが特産。人口3.0万(2010)。

お‐ところ【御所/処】

相手を敬ってその住所・住居をいう語。お住まい

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精選版 日本国語大辞典 「御所」の意味・読み・例文・類語

ご‐しょ【御所】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 天皇の御座所。禁中。内裏。皇居。また、天皇を敬っていう語。
    1. [初出の実例]「大内記二人。〈掌詔勑。凡御所記録事〉」(出典:令義解(718)職員)
  3. 上皇、三后、皇子の住居。また、それらの人を敬っていう語。
    1. [初出の実例]「小松のみかどの、親王にておはしましし時の御所は」(出典:大鏡(12C前)六)
  4. 親王、将軍、大臣などの住居。また、それらの人を敬っていう語。
    1. [初出の実例]「景時為御所近士」(出典:吾妻鏡‐文治元年(1185)四月二一日)
  5. 将軍、大臣以上の公卿、またはその妻子を敬っていう語。隠居した人を大御所、幼年の者を小御所などといった。
    1. [初出の実例]「赤金にてうちたる鉢に入候て、日に三鉢づつ両御所様へ参候」(出典:年中定例記(1525頃))
  6. 江戸時代、内親王の住持した寺院や、これに準じた宮・公卿の娘の入寺した尼寺。比丘尼御所。
    1. [初出の実例]「今般御改正に付仁和寺大覚寺等を始め御所号、門跡号、院家、院室等の名称悉皆被廃止」(出典:太政官布告‐明治四年(1871)六月一七日)
  7. ごしょぞめ(御所染)」の略。
    1. [初出の実例]「御所(ごショ)百色染」(出典:浮世草子日本永代蔵(1688)一)
  8. ごしょふう(御所風)」の略。
    1. [初出の実例]「だんもやうの染かづき、供の女がほうかぶり、御所のひんぬき」(出典:浄瑠璃・傾城酒呑童子(1718)一)
  9. ごしょがき(御所柿)」の略。
    1. [初出の実例]「じゅくしとは御所にかぎらず、しぶがきにても、よくうみたるを」(出典:咄本・私可多咄(1671)一)

ごせ【御所】

  1. 奈良県中西部、金剛山地東麓の地名。奈良盆地の南西隅に位置し、古くは大和政権の政治の中心地、大陸渡来人の居住地。江戸時代初期は桑山氏の城下町。大和絣、大和売薬で知られた。古墳・史跡が多く、葛城神社、本修験宗総本山吉祥草(きっしょうそう)寺がある。JR和歌山線、近鉄御所線が通じる。昭和三三年(一九五八)市制。

お‐ところ【御所】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「お」は接頭語 ) 相手を敬って、その住所をいう語。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「御所」の意味・わかりやすい解説

御所(市)
ごせ

奈良県中西部、大阪府に接する商工業都市。1958年(昭和33)御所町と葛(くず)、大正(たいしょう)、葛上(かつじょう)の3村が合併して市制施行。JR和歌山線、近畿日本鉄道御所線・吉野線、国道24号、309号、京阪奈自動車道が通じる。市名は孝昭(こうしょう)天皇池心宮(いけごころのみや)の御所転訛(ごしょてんか)説や葛城(かつらぎ)川河瀬(こせ)の意など諸説ある。金剛山地の東麓(とうろく)にあり、北部は平地で農業地帯が開け、南部は緩やかな丘陵地が広がる。金剛山から流出する葛城川と竜門山地西縁の重阪(へさか)峠に発する曽我(そが)川はともに北流して農業地帯を潤す。中心の旧御所町は江戸初期は桑山氏御所藩の城下であったが、のち天領となった。大和絣(やまとがすり)の伝統を受け継ぐ繊維工業が市の工業生産高の主位を占めていたが、近年では化学工業の生産高が著しく増加している。在来の大和売薬を母体とする製薬業も盛ん。そのほか、ヘップサンダル、スリッパなどの履き物類の生産がある。農業は良質米で知られた米作中心から園芸農業主体となり、金剛、葛城山の丘陵地では花卉(かき)、植木の栽培が行われる。また、酪農や養鶏も盛ん。特産は吉野葛(くず)、御所(ごしょ)ガキである。霧氷で知られる金剛山、ロープウェーの開通した葛城山は金剛生駒(いこま)紀泉国定公園に属している。古代史のロマンを秘める「葛城の道」には鴨(かも)山口神社、九品(くほん)寺、一言主(ひとことぬし)神社などの古社寺や、名柄(ながら)街道と水越(みずこし)街道の交点にある名柄集落の古い民家が残り、ハイキングコースとなっている。鴨神(かもがみ)には葛城の道歴史文化館がつくられている。国指定史跡に宮山古墳、巨勢(こせ)寺塔跡、高宮廃寺跡があり、茅原(ちはら)の吉祥草(きっしょうそう)寺のとんどの行事は国の選択無形民俗文化財、名柄の中村家住宅は江戸初期の町屋建築で国の重要文化財に指定されている。面積60.58平方キロメートル、人口2万4096(2020)。

[菊地一郎]

『『御所市史』(1965・御所市)』


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改訂新版 世界大百科事典 「御所」の意味・わかりやすい解説

御所[市] (ごせ)

奈良県中西部の市。西は大阪府と接する。1958年御所町と葛上,葛,大正の3村が合体,市制。人口3万0287(2010)。金剛山地の東麓に位置し,山麓を葛城川が北流する。南東部は竜門山地の西端にあたり,曾我川が北に流れ,北部は奈良盆地へとひらけている。葛城・曾我両川は天井川で,しばしば洪水を起こしたが,吉野川分水の実現(1963年ころから受水)により水利事情は緩和された。市の中心は葛城川に臨む旧御所町で,江戸時代初期に桑山氏の城下町となって発達した。江戸時代以来の大和木綿の伝統をつぐメリヤスや靴下などの繊維製品,履物,万年筆,化学製品などの生産が多い。また近世以来大和売薬の中心地として富山と並ぶ売薬の町であり,御所柿(ごしよがき)の名で知られる柿の産地でもある。この地域は古代豪族の葛城氏や鴨(賀茂)氏の本拠地で,宮山古墳をはじめとする史跡も多い。金剛山地の最高峰金剛山は四季登山客でにぎわい,その北の葛城山はツツジが美しい。いずれも金剛生駒国定公園に含まれる。JR和歌山線,近鉄御所線,吉野線が通じる。
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普及版 字通 「御所」の読み・字形・画数・意味

【御所】ぎよしよ・ごしよ

ご座所。宋・黄庭堅〔公択(李常)の棟芽の詠を作れるに奉同す〕詩 想ひ得たり、天香に隨ひ 春の閣、輕雷を轉ずるを

字通「御」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「御所」の意味・わかりやすい解説

御所[市]【ごせ】

奈良県西部,金剛山地東麓の市。1958年市制。近世は桑山氏の城下町,のち天領となる。北東部の奈良盆地末端に中心市街があり,和歌山線,近鉄御所線が通じる。幕末〜明治には大和絣(がすり)の産で知られ,現在も繊維工業が盛ん。大和売薬,メリヤス,靴下,はきものを生産,農村部で良質米のほか御所ガキを特産。金剛山地は金剛生駒紀泉国定公園に属する。葛城山のツツジが有名。60.58km2。3万287人(2010)。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「御所」の解説

御所
ごしょ

天皇・太上天皇・三后・皇太子などの居所。またその部屋・殿舎・邸宅をもさす。ただし長屋王邸跡出土の木簡には内親王御所・竹野王子御所・安倍大刀自御所などの用字がみえ,一般には貴人の居所の意で用いられたことがわかる。平安後期から貴族の日記に摂政・関白・大臣に用いた例がみられるようになり,中世になると将軍の居所も称した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「御所」の意味・わかりやすい解説

御所
ごしょ

(1) 天皇の座所,禁中,内裏の称。また天皇の敬称。 (2) 上皇,三后,親王,将軍,大臣などの居所をもさし,またそれらの人々をも称した。 (3) 現在では,東京の大宮,東宮各御所,京都の京都,京都大宮,仙洞各御所をさす。

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世界大百科事典(旧版)内の御所の言及

【京都御所】より

…1337年(延元2∥建武4),北朝の光明天皇のとき里内裏の土御門東洞院殿(つちみかどひがしのとういんどの)を皇居と定めたことに始まる。1869年(明治2)東京奠都(てんと)まで歴代天皇の内裏として同じ位置にあったが,御所敷地の規模は後世の再建・造替のたびに拡張された。室町時代には1401年(応永8)と43年(嘉吉2)に焼失し再建されており,1569年(永禄12)より織田信長が大修理を実施し,91年(天正19)に豊臣秀吉が新殿に造替した。…

【皇居】より

…天皇の住居。古くは宮,宮室,内裏,禁裏,禁中,禁闕,内,御所などのほか,大宮,大内,九重,百敷(ももしき)などの美称もあり,〈皇居〉の語も平安時代には記録に見える。東京遷都に際し,江戸城を東京城と改称,ついで皇城と公称したが,明治宮殿完成後は宮城を公称と定めた。…

※「御所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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