循環論法(読み)ジュンカンロンポウ(その他表記)vicious circle

翻訳|vicious circle

デジタル大辞泉 「循環論法」の意味・読み・例文・類語

じゅんかん‐ろんぽう〔ジユンクワンロンパフ〕【循環論法】

論理学で、論点先取の虚偽の一。証明すべき結論前提に用いる論法。循環論証

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精選版 日本国語大辞典 「循環論法」の意味・読み・例文・類語

じゅんかん‐ろんぽうジュンクヮンロンパフ【循環論法】

  1. 〘 名詞 〙 ある命題を論証するのに、その命題と同義の命題を論拠とするような論法。前提と結論が互いに依拠し合っている虚偽を犯している。循環論証。〔現代日用新語辞典(1920)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「循環論法」の意味・わかりやすい解説

循環論法 (じゅんかんろんぽう)
vicious circle

悪循環ともいう。証明における循環論法と定義における循環論法とがある。証明における循環論法とは,ある命題の証明においてその命題を仮定した議論を使うこと。形式的にいえば,P1P2,……,Pnn≧1)を命題とするとき,P1を証明するのにP2を使い,P2を証明するのにP3を使うというようにしてPnまで進むが,Pnを証明するのにP1を使う議論。たとえば幾何学において,三角形内角の和が2直角になることを証明するのに平行線公理を用いるが,平行線の公理の根拠を求められると三角形の内角の和が2直角になることによって答える場合がこれである。定義における循環論法とは,ある語の定義を与える表現--それはその語の代りに使用できなければならない--のなかにその語が本質的に登場する場合にいう。形式的にいえば,A1A2,……,Ann≧1)を表現とするとき,A1の定義のなかにA2が登場し,A2の定義のなかにA3が登場するというようにしてAnまで進むが,Anの定義のなかにA1が登場する場合である。たとえば〈〉を〈正当づけられた真なる信念〉と定義するとき,〈正当づけられた〉とは何かを問われて〈証明ないし証拠〉と答えれば,この定義は循環論法である。しかし循環論法が問題になる定義では定義を与える表現はもとの語におきかえうる,という条件がある。これがないいわゆる陰伏定義にはこの循環論法の規定は成立しない。
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百科事典マイペディア 「循環論法」の意味・わかりやすい解説

循環論法【じゅんかんろんぽう】

英語vicious circleなどの訳で,〈悪循環〉とも。論証すべき事柄を論証の根拠とする論点先取の虚偽一種。たとえば〈神の言葉であるものは真である。聖書に書かれているのは神の言葉である。聖書が神の言葉であることは聖書に書かれている。ゆえに,聖書が神の言葉であるのは真である〉など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「循環論法」の意味・わかりやすい解説

循環論法
じゅんかんろんぽう
circular reasoning

前提のなかに結論をあらかじめ入れておく論法で、論理的には認められない。たとえば「彼のいったことは信用してよい。なぜなら彼はよい人だから。そうして彼がよい人だということは、彼のいうことは信用してよいということからわかる」などといった論法がそれである。

[吉田夏彦]

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