心臓にある四つの部屋のうち、上部二つが心房で、それぞれ左心房、右心房とよぶ。外観では心臓の表面を走る冠状溝を境にして上半部を占める。心房の容積は右心房が110~185cc、左心房が100~130ccといわれる。右心房はその外側部から三角状に膨れた突起が出ていて、これを右心耳(じ)とよび、大動脈の根元を右側から囲った形をしている。右心房の後上壁と後下壁には、それぞれ上大静脈、下大静脈が入る。両大静脈からの血液を受ける平滑な、軽くくぼんだ内壁部分を大静脈洞とよぶ。右心室へは右房室口で通じている。左心房は前左側から右心耳と同じく左心耳が突出するが、これは右心耳よりもやや長く、肺動脈の根元を左側から囲むような形をしている。左心房の後上部には左右からそれぞれ2本の肺静脈が入る。左心室へは左房室口で通じている。
両心房の間には心房中隔(大部分は筋性)があり、両心房を境する壁となっている。右心房側の中隔部分(上大静脈開口部のすぐ下)には卵円形の軽い陥凹があり、これを卵円窩(か)とよぶ。卵円窩は胎生期に左右心房が交通していた孔の跡である。心房の筋層は薄いが、外・内の2層からなる。外層筋は両心房を共通して取り囲み、横走している。内層筋は左右心房をそれぞれに囲み、半円状に外層筋と直角に走っている。内層筋は心室、心房をくぎっている線維輪に付着している。心臓の刺激伝導系に属する洞房結節は右心房の内面で上大静脈開口部の前方にあり、房室結節は右心房の冠状静脈洞開口部のすぐ前にある。
[嶋井和世]
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…ここでは,とくに高圧を必要とするえらの循環と,それに対処するポンプとしての心臓の役割が浮彫にされ,ここからもまた呼吸器と心臓との密接な連関がうかがわれる。 こうして脊椎動物で最初につくられる魚の心臓は一般に〈えらの心臓〉と呼ばれることになるが,それは肝臓・腎臓の血流の落ち合う静脈洞に始まり,心房・心室と続き,動脈幹となってえらの血管に移行するところで終わる。始めの部分が静脈門,終りの部分が動脈門と呼ばれる。…
※「心房」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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