心耳(読み)シンジ

デジタル大辞泉 「心耳」の意味・読み・例文・類語

しん‐じ【心耳】

心の耳。心で聞き取ること。
「この呪が―にとどまって」〈芥川・さまよへる猶太人〉
心房しんぼう外側の湾曲部。また、心房のこと。

しん‐に【心耳】

心の耳。心を耳とすること。しんじ。
「まず―を澄まして聴聞あれや」〈露伴・日ぐらし物語〉

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精選版 日本国語大辞典 「心耳」の意味・読み・例文・類語

しん‐じ【心耳】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 心と耳。また、心で聞くこと。しんに。
    1. [初出の実例]「夜来風度清心耳、伝枕鳴琴鼓伯牙」(出典:常山文集(1718)亨・臘月十二日、辱自息軒主之佳招)
    2. 「人木石にあらざれば、方寸の海小浪立ちて、心耳(シンシ)に風は吹かねども」(出典:読本・南総里見八犬伝(1814‐42)六)
  3. 心臓の上半部を占める心房の外側の湾曲部分。一般には心房と同義。〔医語類聚(1872)〕

しん‐に【心耳】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「に」は「耳」の呉音 ) 心の中にあるとされた耳。心の耳。また、心で聞くこと。しんじ。
    1. [初出の実例]「心眼あり、身眼あり、心耳あり、身耳あり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)密語)

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普及版 字通 「心耳」の読み・字形・画数・意味

【心耳】しんじ

心と耳。耳をすませる。唐・李白〔元丹丘の山居に題す〕詩 春、林に臥し 白日きず 風、襟袖め 石、心耳を洗ふ

字通「心」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「心耳」の意味・わかりやすい解説

心耳【しんじ】

心臓の心房の一部前方に向かって突出し,肺動脈基部を前からおおっている部分。左心耳と右心耳があり,薄い先の細い嚢状を呈し,内部には櫛(くし)状の高まりが並んでいる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「心耳」の意味・わかりやすい解説

心耳
しんじ
auricule

右心房一部分をなすもので,耳たぶ状の突出部。右心房と上大静脈の移行部から内側に突出した部分を右心耳といい,上大静脈移行部で右心耳の基部に静脈洞がある。左心耳は左心房から前方に突出し,肺動脈基部にある。内腔には肉柱があるが,壁は薄い。

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世界大百科事典(旧版)内の心耳の言及

【心臓】より

…心臓の外表面は共通の心外膜でおおわれるが,内腔面は左心と右心につきそれぞれ1葉の心内膜endocardiumが心房,房室弁,腱索,心室,動脈弁をおおい,それはさらに心臓に出入りする血管の内皮に連なる(図6)。
[左右の心房]
 左右の心房atriumにはそれぞれ前方内側寄りに張り出す心耳がある。これらは心基部の前上から出る大動脈と肺動脈を左右から取り囲む。…

※「心耳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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