心膜(読み)シンマク

デジタル大辞泉 「心膜」の意味・読み・例文・類語

しん‐まく【心膜】

心臓を包んでいる二重の膜。心嚢しんのう

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精選版 日本国語大辞典 「心膜」の意味・読み・例文・類語

しん‐まく【心膜】

  1. 〘 名詞 〙 心臓全体をつつむ最外層の二重の膜。心臓をつつむ外皮心外膜)が折れかえってできたもので、心外膜と心膜との間にできる腔所(くうしょ)心膜腔といい、少量の漿液(心膜液)が存在する。心嚢(しんのう)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「心膜」の意味・わかりやすい解説

心膜
しんまく

心臓と心臓に出入する大血管基部を包む一種の袋をいい、旧学名では心嚢(しんのう)とよんだ。心膜は線維性心膜と漿膜(しょうまく)性心膜とから構成されている。線維性心膜は厚くて強い線維性結合組織膜で、心臓全体を包み、大血管の外膜に付着している。下方は横隔膜上面に接触している。漿膜性心膜は薄い2枚の結合組織膜で構成され、内側の臓側板(心外膜という)は心臓の外表面を直接覆い、大血管基部のところで外側に向かって反転し、壁側板となり、線維性心膜の内面を覆う。したがって、臓側板と壁側板との間には狭いが閉じられた間隙(かんげき)ができる。これを心膜腔(くう)とよび、内腔には少量(20ミリリットルほど)の心膜液(漿液)が存在する。心膜は心臓の固定・保持と収縮活動の場合の摩擦をなくす働きをもつ。

[嶋井和世]

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百科事典マイペディア 「心膜」の意味・わかりやすい解説

心膜【しんまく】

心嚢ともいう。心臓を包む嚢状の膜。心臓の外層の心外膜が,心臓につく大血管の基部をおおった後に,折れ返って外方の第2の膜となって心臓全体を包む。心外膜は本来心膜の内葉で,これと心膜との間の狭いすき間(心膜腔)には少量の漿液(しょうえき)があり,心臓の活動に際しての摩擦を防ぐ。
→関連項目漿膜

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「心膜」の意味・わかりやすい解説

心膜
しんまく
pericardium

心臓を包む結合組織性の膜で,心臓の表面を密着しておおう臓側心膜と,壁側心膜から成る。前者は心外膜,後者は心嚢ともいう。両者は大血管の基部で折返す形でつながっており,両者の間の心膜腔という腔所には約 10~15mlの心膜液と呼ばれる漿液があって心臓の働きを円滑にしている。心膜の疾患には,種々の心膜炎収縮性心膜炎,心膜欠損症などがある。

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世界大百科事典(旧版)内の心膜の言及

【心臓】より

…心基部には心房や心臓に出入りする大血管(大動脈,肺動脈,肺静脈,上下の大静脈)があり,周囲臓器と連なる。心臓は内外2葉の結合組織性の心膜pericardiumに包まれる。内側の心膜は心臓の外表面をおおう薄い心外膜epicardiumであり,これは心臓に出入りする大血管の根部に至って反転し,外側の心膜に移行し,じょうぶな心囊Herzbeutelとなる。…

【心囊炎】より

…心囊炎とは,心臓を包む心膜pericardium(心臓の表面を包む心外膜epicardiumと狭い心膜腔を隔てて心臓を包む狭義の心膜から成る)の種々の原因によって起こる炎症病変の総称であり,心膜炎あるいは心包炎ともいわれる。心囊炎は通常,急性心囊炎,慢性心囊炎,先天性心囊炎の三つに大別される。…

※「心膜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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