心臓と心臓に出入する大血管の基部を包む一種の袋をいい、旧学名では心嚢(しんのう)とよんだ。心膜は線維性心膜と漿膜(しょうまく)性心膜とから構成されている。線維性心膜は厚くて強い線維性結合組織膜で、心臓全体を包み、大血管の外膜に付着している。下方は横隔膜上面に接触している。漿膜性心膜は薄い2枚の結合組織膜で構成され、内側の臓側板(心外膜という)は心臓の外表面を直接覆い、大血管基部のところで外側に向かって反転し、壁側板となり、線維性心膜の内面を覆う。したがって、臓側板と壁側板との間には狭いが閉じられた間隙(かんげき)ができる。これを心膜腔(くう)とよび、内腔には少量(20ミリリットルほど)の心膜液(漿液)が存在する。心膜は心臓の固定・保持と収縮活動の場合の摩擦をなくす働きをもつ。
[嶋井和世]
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…心基部には心房や心臓に出入りする大血管(大動脈,肺動脈,肺静脈,上下の大静脈)があり,周囲臓器と連なる。心臓は内外2葉の結合組織性の心膜pericardiumに包まれる。内側の心膜は心臓の外表面をおおう薄い心外膜epicardiumであり,これは心臓に出入りする大血管の根部に至って反転し,外側の心膜に移行し,じょうぶな心囊Herzbeutelとなる。…
…心囊炎とは,心臓を包む心膜pericardium(心臓の表面を包む心外膜epicardiumと狭い心膜腔を隔てて心臓を包む狭義の心膜から成る)の種々の原因によって起こる炎症病変の総称であり,心膜炎あるいは心包炎ともいわれる。心囊炎は通常,急性心囊炎,慢性心囊炎,先天性心囊炎の三つに大別される。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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