心臓死(読み)シンゾウシ(その他表記)cardiac death

デジタル大辞泉 「心臓死」の意味・読み・例文・類語

しんぞう‐し〔シンザウ‐〕【心臓死】

心臓の拍動を停止し、死亡すること。

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精選版 日本国語大辞典 「心臓死」の意味・読み・例文・類語

しんぞう‐しシンザウ‥【心臓死】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 心臓病を患っていた人が突然死亡すること。また、死因が心臓にあると考えられる死亡。
    1. [初出の実例]「その毒素が心臓を犯して、突然心臓死(シンザウシ)を招来することです」(出典:育児読本(1931)〈田村均〉四三)
  3. 心臓の拍動が停止し、それによって死亡すること。脳死に対していう。

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改訂新版 世界大百科事典 「心臓死」の意味・わかりやすい解説

心臓死 (しんぞうし)
cardiac death

心臓の不可逆的(永久的)な機能停止によってもたらされる死をいう。人体臓器のうち,脳,心臓,肺の3臓器は生命の維持に直接関与する重要な臓器であり,このうち,どの一つの臓器の機能が停止しても,直接死につながる。したがって,いかなる死においても心臓はその機能を停止するが,死の直接の原因が心臓にあるとき,その死を心臓死と呼んでいる。

心臓の収縮が停止する原因には不整脈によるものと,低酸素血症,アシドーシス,重篤な心不全や心破裂などによるポンプ機能の失調がある。これらによる心臓の収縮の停止を心停止という。心停止が起こると,数秒から十数秒で意識が消失し,呼吸も停止して,蘇生術が成功しなければ,数分で脳に不可逆的変化が起こって,反射機能も消失して死に至る。不整脈による心停止を不整脈死というが,心停止の前兆となる不整脈には,心室頻拍心房粗動,心室性期外収縮,房室ブロックなどがあり,心臓の調律が失われて心室細動や心室静止となり,血液の拍出は止まる。これらの不整脈は心筋梗塞(こうそく),心筋炎などによる重篤な心機能障害や高カリウム血症ジギタリスなどによる薬物中毒などで起こり,いずれも急死の形をとる。心停止が起こったときは,ただちに人工呼吸や心臓マッサージなどの心肺蘇生術を行う必要がある。

 なお,かつて日本では,原因不明の急性心臓死に対して,俗に〈心臓麻痺〉と称し,Herzlähmungというドイツ語をあてていたが,その概念はあいまいなため,現在,医学的には用いられていない。
 →脳死
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