忠魂碑訴訟(読み)ちゅうこんひそしょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「忠魂碑訴訟」の意味・わかりやすい解説

忠魂碑訴訟
ちゅうこんひそしょう

戦没者の慰霊顕彰を目的に建立された忠魂碑の移転と慰霊祭をめぐり,住民が起こした違憲訴訟。1976年の大阪府箕面市の忠魂碑違憲訴訟がその最初。箕面小学校の建て替え工事に伴い,学校に隣接する忠魂碑の建つ公共用地の明け渡しと移設を求めた箕面市は,市遺族会に対して代替敷地の無償貸与を決めた。さらに,忠魂碑の慰霊祭に市長らが来賓として出席した。これらの行為に対し住民が,憲法20条「信教の自由政教分離の原則」に反する,89条「宗教上の組織若しくは団体」にあたるとして 2件の訴訟を起こした。大阪地方裁判所は 1982年と 1983年にいずれも違憲判決をくだしたが,併合審理した大阪高等裁判所は 1987年,忠魂碑の宗教的性質,遺族会の宗教団体としての性格を否定して住民側が敗訴。1993年最高裁判所は住民側の上告を棄却し,合憲が確定した。1982年から争われていた長崎忠魂碑訴訟も,福岡高裁での合憲が確定した。

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