六訂版 家庭医学大全科 「急性うっ滞性乳腺炎」の解説
急性うっ滞性乳腺炎
きゅうせいうったいせいにゅうせんえん
Acute stagnation mastitis
(女性の病気と妊娠・出産)
どんな病気か
授乳期に乳腺内に乳汁がたまって起こります。適切な処置をしないと化膿性(かのうせい)乳腺炎に移行するおそれがあります。
原因は何か
乳児が十分に乳汁を吸飲しない、「陥没乳頭」など乳頭の発達が悪くて授乳の障害になるなどの原因で、乳腺内に乳汁がたまり(うっ滞)、乳房の腫大や疼痛を訴えるに至ったものです。授乳期の乳汁分泌量が乳児の吸飲量より多いことが原因になります。
症状の現れ方
乳房が大きく腫大し、乳房皮膚の静脈の拡張、青黒い色調などが認められ、乳房の
検査と診断
通常は授乳期であること、乳児の乳汁吸飲量が少ないことを参考にし、臨床所見のみで診断は可能です。時には、授乳期の乳がんとの区別が難しいこともあります。うっ滞性乳腺炎の場合には、乳汁を絞り出すと乳房腫大などの症状はほとんどなくなりますが、授乳期の乳がんでは腫瘤が消えることはありません。
また、どうしても区別がつかない場合には、超音波検査や針生検などによって乳がんでないことを確認します。授乳期なので、乳房の圧迫を必要とする乳腺X線撮影は困難です。超音波検査は苦痛がないので有用です。うっ滞性乳腺炎の場合には、拡張した乳管が乳腺全体に観察できます。また、明らかな
治療の方法
乳汁のうっ滞を解消するために
病気に気づいたらどうする
助産師や産科医師と相談し、赤ちゃんの乳汁吸飲を促す努力をします。乳汁うっ滞がどうしても解消されないのであれば、乳汁分泌を止める処置をしてもらいます。
関連項目
馬場 紀行
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報