恁麽（読み）いんも

精選版 日本国語大辞典

いん‐も【恁麽】

〘名〙 (中国の五代以降の口語から) かくある。こんな。そんな。このように。そのように。

※正法眼蔵（1231‐53）坐禅箴「見在宋国に、恁麽の功夫人おほし、祖道の荒蕪かなしむべし」

※太平記（１４Ｃ後）一〇「高重は庭に立ながら左右に揖(いふ)して問って曰く、『如何(いかなる)是勇士恁麽(インモ)の事(じ)』」 〔碧巖録‐四三則・垂示〕

[語誌](1)日本には禅宗とともに渡来し、禅門でしきりに用いられた。道元の正法眼蔵には「恁麽」と題する巻がある。後世、往々「什麽(シモ・シイモ)」（どんな、いかなる、何の）と混同される。
(2)「什麽」については、中世の仮名抄物として、同一の講義の筆記と認められる二種の「人天眼目抄」の写本のうち、足利本に「父子無_二事不_一レ挙無_二事不_一レ知 什麽と挙し什麽と知たぞ」とある箇所が、東大本には「父子無_二事不_レ挙不_一レ知。師云肝要ここだぞ。何と挙し何と知たぞ」とあって注意される。

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恁麽
いんも

禅宗用語。「どうして」「どのように」「この (あの) ような」の意味をもつ。俗語であったが，宋代の禅籍に使われはじめた。「恁 麽時」は「その時」，「恁 麽人」は「その人」を意味する。

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