悪性過高熱(読み)あくせいかこうねつ(英語表記)Malignant hyperthermia

六訂版 家庭医学大全科 「悪性過高熱」の解説

悪性過高熱
あくせいかこうねつ
Malignant hyperthermia
(脳・神経・筋の病気)

 全身麻酔をした時に体温が42℃にまでも上昇し、筋肉が硬直した状態となります。死亡率が高く、麻酔医や外科系医師には恐れられている病気です。リアノジン受容体遺伝子の異常が原因です。

 カルシウムイオンは通常筋小胞体に蓄積されていますが、ここから放出されることで筋収縮の引き金となり、カルシウムイオンが筋小胞体に再吸収されると筋が弛緩します。悪性過高熱ではこの再吸収が起こらず、筋が収縮し続けてしまいます。対処法として、ダントロレンの投与による予防が可能になりました。

 一方、向精神薬を投与すると高熱が続き、意識障害や筋硬直が起こることがあります。これは悪性症候群(あくせいしょうこうぐん)と呼ばれ、よく似てはいますが、悪性過高熱とは別の疾患です。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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