感染性ミオパチー

内科学 第10版 「感染性ミオパチー」の解説

感染性ミオパチー(炎症性ミオパチー)

(1)感染性ミオパチー
a.ウイルス感染
 エンテロウイルスによる筋炎は通常小児に起こり,一般に自己終息的で自然経過で治癒する.HTLV-1による筋炎は筋力低下とCKの上昇を認め,多発性筋炎や封入体筋炎の症状や組織像を呈する【⇨10-6】.HIVによるミオパチーは亜急性の経過で対称性近位筋の筋力低下で発症し,徐々に進行する.CKの上昇を認め,組織で筋壊死,炎症像,筋線維の空胞化が認められる(Nagarajuら,2009).
b.寄生虫感染
 筋肉痛や局所的な腫れなどの非特異的な訴えから,対称性近位筋の筋力低下まで多彩である.血清学的検査や筋生検による各寄生虫の特徴的な変化(シストなど)で診断する.肉の生食や動物の糞便などから感染するものが多いが,トキソプラズマのように通常不顕性で免疫能が低下したときに発病するものや,エキノコックスのように感染してから10年以上経過してから症状が出るものもある.[村川洋子]
■文献
Dimachkie MM, Barohn RJ: Inclusion body myositis. Semin Neurol, 32: 237-245, 2012.
Nagaraju K, Lundberg IE: Inflammatory diseases of muscle and other myopathies. In: Kelley’s Textbook of Rheumatology. 8th ed, pp1353-1380, Saunders Elsevier, Philadelphia, 2009.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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