懸け橋(読み)かけはし

精選版 日本国語大辞典 「懸け橋」の意味・読み・例文・類語

かけ‐はし【懸橋・梯】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 谷をまたいで懸け渡した橋。粗末な板や材木、蔦(つた)などで、仮に作ってあるものをいう場合が多い。また、崖(がけ)に沿った険しい道に、板などを棚のように掛け渡して道としたもの。桟道。かけじ。
    1. [初出の実例]「巖(いはを)(さかし)く磴(カケハシ)(めぐり)て、長(ふか)き峯(たけ)数千(ち)、馬頓轡(なづ)みて進(ゆ)かず」(出典:日本書紀(720)景行四〇年一〇月(北野本訓))
    2. 「雪ふかき山のかけはしきみならでまたふみかよふあとをみぬかな」(出典:源氏物語(1001‐14頃)椎本)
  3. はしご。階段状のものもいう。
    1. [初出の実例]「梯 郭知玄曰梯〈加介波之〉木以登一レ高也」(出典:十巻本和名抄(934頃)三)
    2. 「広さ一丈五尺、長さ二十丈余に梯(カケハシ)をぞ作らせける」(出典:太平記(14C後)七)
  4. 川など、水の上に懸け渡した橋。仮に作ったものの場合が多い。仮橋。
    1. [初出の実例]「あはれ我が恋に命をかけはしのさていつまでか頼みわたらん〈藤原為継〉」(出典:続千載和歌集(1320)恋二・一一九七)
    2. 「浮き桟橋から波止場へ渡るかけ橋が急な坂になってゐた」(出典:暗夜行路(1921‐37)〈志賀直哉〉二)
  5. 建物と建物とをつなぐ渡り廊下渡殿(わたどの)
    1. [初出の実例]「広間をすぎて縁より梯(カケハシ)のはるかに、熊笹のむらむらとして」(出典:浮世草子・好色五人女(1686)五)
  6. 桟敷(さじき)
    1. [初出の実例]「いづれも座敷二階造、欄干つきの廊下桟(カケハシ)などわたして」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)初)
  7. ( ━する ) 両者の間にあって両者の関係や交渉をとりもつこと。また、その人や物。なかだち。また、目的を遂げるための段階、道筋をなすもの。
    1. [初出の実例]「あののもののは恋のかけはし」(出典:歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)大切)
    2. 「夢と現との架け橋なんぞ信じはしない」(出典:招魂祭一景(1921)〈川端康成〉)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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