懸盤(読み)カケバン

デジタル大辞泉 「懸盤」の意味・読み・例文・類語

かけ‐ばん【懸(け)盤/掛(け)盤】

食器をのせる台。格狭間こうざまを透かした台に折敷おしきをのせたもの。江戸時代には、台に折敷を取り付けて形式化した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「懸盤」の意味・わかりやすい解説

懸盤
かけばん

飲食器を載せる台。平安時代には折敷(おしき)を懸けて載せるということで、折敷の下に取り外しのできる4本の脚がまっすぐについていたが、のちに円く曲がり、さらに横木を渡したものになり、盤と脚部がつくりつけとなった。用材には浅香(せんこう)や沈香(じんこう)、紫檀(したん)を使用し、螺鈿(らでん)で加飾した。

 近世になると、台面に朱漆、縁足台などに黒漆を塗り、草花花鳥家紋などの蒔絵(まきえ)が施された美術工芸品が出現している。その代表的な遺例として、高台(こうだい)寺(京都)の蒔絵調度類(国の重要文化財)のうちの松菊桐蒔絵懸盤と芦辺(あしべ)桐蒔絵懸盤があげられるが、これらは豊臣(とよとみ)秀吉夫妻の使用と伝えられる。

[郷家忠臣]

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