成丈(読み)なるたけ

精選版 日本国語大辞典 「成丈」の意味・読み・例文・類語

なる‐たけ【成丈】

  1. 〘 副詞 〙 ( 動詞「なる(成)」にそれ限りの意を表わす副助詞「たけ」が付いてできた語。「なるだけ」とも ) できる限り。できるだけ。なるべく。なりたけ。なりったけ。なるったけ。なるべくたけ。なるべきだけ。
    1. [初出の実例]「なるたけこらへる侍が、青うなり赤うなり」(出典:浄瑠璃・近江源氏先陣館(1769)九)
    2. 「成るだけは知らぬ躰(てい)をして、平気をつくりて」(出典:たけくらべ(1895‐96)〈樋口一葉〉七)

成丈の語誌

「なりたけ」をはじめ、多くの異形を生じたが、これら以前は「なるほど」がこの意味用法をになっていた。「なりたけ」は江戸東京語で、「なりったけ」はその促音形。「なるべきだけ」の発生は「なるたけ」に少し遅れる。なお、「なるべきだけ」の語形は重言意識が働いてか、その後急速にすたれ、現在では「なるべく」「なるたけ」の短い形がこの意味用法で残っている。


なり‐たけ【成丈】

  1. 〘 副詞 〙 ( 「なるたけ(成丈)」の変化した語 ) できるだけ。江戸後期からの東京地方の俗語。なりったけ。
    1. [初出の実例]「きよ川さんの客人ときていては、なをの事なりたけあわぬよふにしてへもんだ」(出典:洒落本・青楼五雁金(1788)一)

なるっ‐たけ【成丈】

  1. 〘 副詞 〙 「なるたけ(成丈)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「成(ナル)ったけ他と顔をあかめ合(やう)まいと思って」(出典:人情本春色梅児誉美(1832‐33)初)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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