成熟(読み)セイジュク

デジタル大辞泉 「成熟」の意味・読み・例文・類語

せい‐じゅく【成熟】

[名](スル)
果物穀物が十分に熟すること。「稲が成熟する」
人の心や身体などが十分に成長すること。「成熟した肉体
その事をするのに最も適した時期に達すること。「機運成熟するのを待つ」
[類語](1れる熟する熟むれる熟成する未熟不熟早熟晩熟追熟黄熟豊熟爛熟完熟/(2成長生長成育生育発育発達育つ生い立つ長ずる

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精選版 日本国語大辞典 「成熟」の意味・読み・例文・類語

せい‐じゅく【成熟】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 果物や穀類が十分にみのること。よくうれること。また、人の心やからだが十分に成長すること。
    1. [初出の実例]「五穀が成熟して目出ほどに付たぞ」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)五)
    2. 「其想像未だ十分に成熟せりとも思はれざるなり」(出典:日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉一)
    3. [その他の文献]〔史記‐律書〕
  3. 上達すること。熟練していること。熟達。
    1. [初出の実例]「学校教授たるべき学術成熟の証書」(出典:和蘭学制(1869)〈内田正雄訳〉小学条例)
    2. [その他の文献]〔劉巖夫文‐与叚校理書〕
  4. 情勢や機運などが最も適当な時期、あるいは充実した時期に達すること。
    1. [初出の実例]「そのなまな社会思想を一個の文芸思潮にまで成熟させ得なかった」(出典:女房的文学論(1947)〈平野謙〉)

じょう‐じゅくジャウ‥【成熟】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「じょう」は「成」の呉音 )
  2. 機が十分熟すること。転じて、悟りの機が実ること。
    1. [初出の実例]「身命をかへりみず聞法するがごときは、その聞法成熟するなり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)行持)
  3. 養い育てること。〔勝鬘経‐十受章〕

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普及版 字通 「成熟」の読み・字形・画数・意味

【成熟】せいじゆく

よく実る。できあがる。〔白虎通、五行〕六、之れを林鍾(りんしよう)と謂ふは何ぞ。林とは衆なり。熟して、種衆多なるなり。

字通「成」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「成熟」の意味・わかりやすい解説

成熟
せいじゅく

個体が成長してその機能を十分に発揮できるようになること。動物においては生殖機能が完成することを、植物の場合は花をつけ実を結びうる状態になることをいう。動物では下垂体甲状腺(せん)のホルモンが、植物では植物ホルモンが密接に関与する。成熟までに要する時間は生物の種類によってだいたい決まっているが、しばしば温度、光、その他の環境条件によって影響を受ける。一般に高温におけるほうが低温におけるより早く成熟する。また、たとえばラットを連続照明下で飼育すると成熟が早まり、連続暗黒下で飼育すると遅れる。成熟という語は個体に限らず、卵、精子、種子などに対しても用いる。なお、生殖細胞がつくられるときの減数分裂のことを成熟分裂ともいう。

[内堀雅行]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「成熟」の意味・わかりやすい解説

成熟
せいじゅく
maturation

生物学的には,種々の細胞器官,ないしは生体全体の機能や構造が,成長の過程を通じて完全に発達した状態に到達することであるが,心理学的には,学習と対比されたものとして,個体が本来もつ成長過程を通してなされる行動変容をさす。そのため一般に,成熟を経験ないし環境的要因によらない遺伝的な要因による過程と考える場合が多い。ただし実際は,厳密にこの両要因の効果を確定することはむずかしく,通常成熟による行動の変容という場合,その動物種が正常な環境中で与えられる初期の経験ないし学習の効果も含まれている。

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百科事典マイペディア 「成熟」の意味・わかりやすい解説

成熟【せいじゅく】

生物がその本来の機能を十分に営める状態に達すること。普通,個体が生殖可能な状態になる性成熟の意味に使われることが多いが,より広く,生殖細胞の成熟,種子の成熟などにも用いられる。

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栄養・生化学辞典 「成熟」の解説

成熟

 動物個体が生殖可能な状態になること(性成熟)をはじめ,諸種の特定の機能を果たせる状態,備えた状態になることをいう場合が多い.

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世界大百科事典(旧版)内の成熟の言及

【成長】より

…個体群成長曲線はS字状曲線(シグモイド曲線)を示す場合が多い。成長の促進される前期と成長が弱まる後期の2相に大きく分けると,両相の移行点は植物では開花期,動物では成熟期にあたる。未熟期,成熟期,老衰期の3相に分けることもある。…

※「成熟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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