手を拱く(読み)テヲコマヌク

デジタル大辞泉 「手を拱く」の意味・読み・例文・類語

こまぬ・く

《「てをこまねく」とも》
両手の指を胸の前で組んで敬礼する。中国で行われたあいさつの方法。
腕組みをする。手をつかねる。「―・いて思いにふける」
何もしないで傍観している。手をつかねる。腕をこまぬく。「当局も―・いていたわけではない」
「要吉は―・いて女の泣き止むのを待っていた」〈森田草平煤煙
[補説]文化庁が発表した「国語に関する世論調査」で、「手をこまねく」は、「何もせずに傍観している」と「準備して待ち構える」の、どちらの意味だと思うかを尋ねたところ、次のような結果が出た。
 平成20年度調査令和元年度調査
何もせずに傍観している
本来の意味とされる)
40.1パーセント37.2パーセント
準備して待ち構える
(本来の意味ではない)
45.6パーセント47.4パーセント

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「手を拱く」の意味・読み・例文・類語

て【手】 を 拱(こまぬ・こまね)

  1. 両手の指を胸の前で組み合わせて敬礼する。中国で行なわれた挨拶の方法の一つ。
    1. [初出の実例]「那後生叉手(〈注〉テヲコマヌキ)不方寸」(出典:小説精言(1743)一)
    2. [その他の文献]〔礼記‐曲礼・上〕
  2. うで組みをする。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  3. ( 多くの動作を伴って ) 深く考えこむ。深く考えに沈む。
    1. [初出の実例]「膝を組み、手を叉(コマヌ)き、忙然として居たりける」(出典:読本椿説弓張月(1807‐11)前)
  4. 手だしをせずにいる。何もしないで見ている。手をつかねる。
    1. [初出の実例]「いつれも手をこまぬき棹だちになりて」(出典:仮名草子・智恵鑑(1660)二)
    2. [その他の文献]〔史記‐始皇本紀賛〕

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