手を翻せば雲となり、手を覆せば雨となる(読み)てをひるがえせばくもとなりてをくつがえせばあめとなる

精選版 日本国語大辞典 の解説

て【手】 を 翻(ひるがえ)せば雲(くも)となり、手(て)を覆(くつがえ)せば雨(あめ)となる

(杜甫の「貧交行」の「翻手作雲覆手雨、紛紛軽薄何須数」から。変わりやすいことの意) 人情の反覆常ないさまのたとえ。
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉七「近来吾輩の毛中にのみと号する一種寄生虫が繁殖したので滅多に寄り添ふと、必ず頸筋を持って向ふへ抛り出される。〈略〉手を翻せば雨、手を覆せば雲とはこの事だ」

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故事成語を知る辞典 の解説

手を翻せば雲となり、手を覆せば雨となる

人情が軽薄で変わりやすいことのたとえ。

[使用例] 近来吾輩の毛中にのみと号する一種の寄生虫が繁殖したので〈略〉わずかに眼に入るか入らぬか、取るにも足らぬ虫のために愛想をつかしたと見える。手を翻せば雨、手を覆せば雲とはこの事だ[夏目漱石*吾輩は猫である|1905~06]

[由来] 八世紀、唐王朝の時代の中国の詩人の「ひん交行こうこう」という詩の一節から。「手を翻せば雲とり、手を覆せば雨、紛々たる軽薄、何ぞかぞうるをもちいん(手をひっくり返すと雲になり、元に戻すと雨になる。そんなふうに変わりやすいのが、人情というものだから、世の軽薄な者どもなんて、数え挙げたってしょうがない)」と嘆いています。

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