手切(読み)てぎれ

精選版 日本国語大辞典 「手切」の意味・読み・例文・類語

て‐ぎれ【手切】

〘名〙
① それまで続いていた二者の関係・交渉を終わりにすること。相互の関係を断つこと。
歌舞伎吉備大臣支那譚(1875)一幕「三月越しの延引もいよいよ今日が手切(テキ)れの応接
双方の交渉、談判が成りたたないで、破談となり、そのまますぐに敵対行為をとること。
上杉家文書‐永祿一一年(1568)九月八日・本庄宗緩河田長親山吉豊守連署条書「甲州使者相留御手切之事」
三河物語(1626頃)二「然間、駿河と御手切(てギレ)を被成候得て」
③ 特に、男と女の愛情関係を断つこと。客がなじみの遊女などとのなかを終わらせること。また、その際、与える金。手切れ金。
人情本春色梅児誉美(1832‐33)四「仇吉丹次郎が手(テ)ぎれ、米八が顔の立かた等、残る処なくはからひける」

て‐きり【手切】

〘名〙 (「てぎり」とも)
① 手を切ること。手を傷つけること。転じて、下手な大工をいう。〔譬喩尽(1786)〕
縁故を切ること。関係を断つこと。手切れ。
洒落本・北廓鶏卵方(1794)二「吉が親達はいづれ手(テ)ぎりのつもりだけれども」
機械などを用いないで、人の手で切ること。また、そうやって切ったもの。
良人自白(1904‐06)〈木下尚江〉後「老小使は手刻(テギリ)煙草をバクリと燻らした」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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