手形(手のひらの形)(読み)てがた

日本大百科全書(ニッポニカ) 「手形(手のひらの形)」の意味・わかりやすい解説

手形(手のひらの形)
てがた

手のひらの形を朱や墨で紙に押し写したもの。「押手(おして)」ともいう。手形の紙を魔除(よ)け、疫神除けに門口に貼(は)る風習はかなり広くみられ、また小(こ)正月や2月8日に粥(かゆ)や団子の茹(ゆ)で汁で戸口に手形をいくつも押して「まじない」とする所もある。力士などの手形を珍重して室内に掲げたりするのも同趣で、剛力のしるしで魔障を除こうというのであろう。鬼神や英雄の手形と伝える異形の「手形石」伝説も同じ流れのもので、ときには祈願の対象にもなっていた。

 なお別に、印章のかわりに手形を押した文書を手形と通称することも古く、やがて印形を押した証券、とくに為替(かわせ)手形、約束手形の類をも広く手形と通称するに至った。

[竹内利美]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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