打(内)歩(読み)うちぶ

改訂新版 世界大百科事典 「打(内)歩」の意味・わかりやすい解説

打(内)歩 (うちぶ)

(1)江戸時代の土地用語。土地の実際の丈量反別(面積)をいい,実際の石高内高実高といった。これに対して検地帳面記載の公式の反別を表歩,石高を表高といった。表歩より打歩のほうが大きいのが通例である。(2)近代の金融用語。貨幣,外国為替(〈為替プレミアム〉の項目参照),株式,公社債などについて生ずる割増価格(額面超過額)をいう。なお,室町時代にも標準銭(善銭)に対し,悪銭は打歩を付して使用されていた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の打(内)歩の言及

【撰銭】より

…悪銭を選び分け,あるいは拒否して代りの良銭(精銭)を要求することを撰銭という。1銭=1文で流通しない悪銭は打歩(うちぶ)(換算比率)をつけて小額貨幣として流通していたので,適正な打歩を要求する行為,ないしは不当不正の貨幣使用がないか否か,調べる行為をも撰銭といった。【峰岸 純夫】。…

【為替プレミアム】より

…通常,先物為替相場に関して,外貨の先物相場がその直物(じきもの)相場より価値が高い場合をプレミアムpremium(打歩)といい,その逆をディスカウントdiscount(割引)という。また,両者の為替相場が同一である場合は,直先(じきさき)フラットflat,パーparあるいはイーブンevenという。…

【プレミアム】より

…一般的には割増金のことを意味し,打歩(うちぶ)ともいう。この言葉は外国為替,株式市場,保険,商業のそれぞれの分野で使われている。…

※「打(内)歩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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