デジタル大辞泉
「批判」の意味・読み・例文・類語
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ひ‐はん【批判】
〘名〙
① 批評して判断すること。物事を判定・評価すること。
※正法眼蔵(1231‐53)無情説法「
古今の
真偽を批判すべきなり」
※
浄瑠璃・
一谷嫩軍記(1751)三「御賢慮に叶ひしか。但し直実過りしか、御批判いかにと言上す」 〔資治通鑑注‐唐紀・玄宗開元二四年〕
※大内氏掟書‐六五条・文明一七年(1485)四月二〇日「そのぬし出帯して、奉行所にて
ひはんをうけ」
③ 良し悪し、
可否について論ずること。あげつらうこと。現在では、ふつう、否定的な意味で用いられる。
※
洒落本・魂胆惣勘定(1754)中「
女郎の㒵をほめ、衣装の有なしをかたり、くしかふがいのひはんをし」
⑤ 哲学で、
事物や学説の内容を根本的に研究して、その全体の
連関、意味、基礎を明らかにすること。
マルクス主義の
用語としては、
イデオロギーを論理的に検討するだけではなく、それを生みだす物質的な条件や階級的な基礎を暴露すること。〔
教育・
心理・論理術語詳解(1885)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
普及版 字通
「批判」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
批判
ひはん
criticism 英語
critique フランス語
Kritik ドイツ語
通常の用法においては、「批評」と同じく、人間の行為あるいは作品の価値を判定することをいう。西欧語では、「批判」も「批評」も、等しくギリシア語の「分割する」を意味する語クリネインkrineinに由来する語によって表されるが、日本語の場合には、「批判」は哲学ないし文献学上の、「批評」は主として文学・芸術上の用語として使い分けられるのが一般的である。「批判」の語に、哲学用語としての重要なまた明確な意味を与えたのはカントであった。彼は人間の作品の知的、美的また道徳的な価値を客観的に判定するというこの語の在来の一般的用法を受け継ぎながらも、同時にそれをいわば一段上のより普遍的なレベルにまであげて、この語に人間の理性能力そのものの批判という、新たな意味を与えた。これは近代文学や解釈学において、批評が核心的位置を占めるようになることに対応するプロセスであった。
[坂部 恵]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例