翻訳|antitoxin
破傷風,ジフテリアなどのような細菌が出す毒素,ヘビ,サソリなどの動物の毒素などを中和する抗体。治療に用いられるが,このような療法を血清療法という。毒素を出す細菌が原因となる感染症では,毒素により神経・筋肉などの組織が傷害をうけて疾患の原因となる。この毒素を無毒化してヒト,ウマに注射すると,毒素を中和する抗毒素抗体がその血清中にできてくる。この血清から免疫グロブリンを精製したものが抗毒素製剤である。抗毒素は,E.ベーリング,北里柴三郎により1890年に開発され,以来ウマの抗毒素製剤が用いられてきたが,ウマの免疫グロブリンもヒトには異種のものであり,これに対する抗体が治療をうけた患者に生じることが原因となって血清病になることがあるので,抗毒素を多量に含むヒト血清から免疫グロブリンを精製した製剤が用いられるようになってきている。しかし,ヘビ,サソリなどの抗毒素はウマ血清由来のものが多い。
執筆者:松橋 直
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…ワクチンも,生きた微生物を含んでいる生菌ワクチンから,加熱その他の方法で殺した菌で行う死菌ワクチン,さらに細菌のつくり出すタンパク質や多糖類などでも有効な場合があることがわかり,現代においては有効部分を人工合成した合成ワクチンも登場するようになっている。
[抗毒素の発見]
この間の重要な発見は,1890年のE.vonベーリングと北里柴三郎による抗毒素の発見である。彼らは,ジフテリアや破傷風などのように,毒素を産生する菌を注射した動物の血液の中には,毒素を特異的に中和する働きをもっている物質が出現することを報告し,この物質が血液中の液性成分,すなわち血清の中に含まれていることを証明した。…
…これは減感作療法あるいは脱感作療法と呼ばれ,気管支喘息(ぜんそく),花粉アレルギー,一部の薬剤アレルギーなどに対して行われている。(2)受動免疫療法は人体のもっていない特異抗体を補充投与する治療法で,細菌や他の生物由来の毒素に対する抗毒素の投与が行われている。代表的なものとしてはジフテリア,破傷風,ガス壊疽,ハブ毒などに対する抗毒素の投与である。…
※「抗毒素」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新