品質管理に関する用語。JISでは,検査とは〈品物をなんらかの方法で試験した結果を,品質判定基準と比較して個々の品物の良品・不良品の判定を下し,又はロット判定基準と比較して,ロットの合格・不合格の判定を下すこと〉と定義されている。検査には,すべての製品を検査する全数検査と,〈検査ロットから,あらかじめ定められた抜取検査方式に従って,サンプルを抜き取って試験し,その結果をロット判定基準と比較して,そのロットの合格・不合格を判定する〉(前掲JIS)抜取検査がある。抜取検査では個々の品質を保証することはできないが,ある確率でロットごとの品質を保証することができる。このため,安全性が強く要求されるシステムの重要部品では全数検査が行われる。一方,検査によって製品が破壊される破壊検査の場合には抜取検査しか行えないし,検査に費用がかさむときなどには,検査個数を少なくできる抜取検査が行われる。
検査には,その目的によって,材料や部品を購入するとき行う受入(購入)検査,工程と工程との中間において行う中間検査,および製品を出荷するときに行われる最終(出荷)検査とがある。
品質管理では,製造された製品を検査することも大切であるが,それよりも,製造中によい品質の製品を作るようにすることが重要であるという考え方をとっている。このようなよい製品を作るための管理を工程管理という。検査は単に悪い品質の製品を後工程に流れないような予防の機能をもつだけではなく,検査によって得られた品質情報を収集し,これを生かすという情報収集の機能と,この情報にもとづいて工場の管理を行うという管理の機能をもっている。
抜取検査を行うには,まず製品の仕切りを定め,ロットを構成し,これより試料(標本ともいう)を,定められた数(この数を試料の大きさという)だけ抽出する。抜取検査は,この中の不良品を数えたり,欠点数を合計してロットの合否を決める計数抜取検査と,この試料の各特性値(目方や成分)を測定して,その測定値によって合否を定める計量抜取検査に分けられる。前者は,試料の抽出に費用がかからないが,この試料の特性値の測定には費用がかさむときに有利である。
抜取検査には,よいロットを不合格としてしまう生産者危険と,悪いロットを誤って合格としてしまう消費者危険とが伴うが,抜取検査の設計は,経済性を考慮してこの両者の発生の可能性がなるべく少なくなるように行われており,詳細の抜取検査方式はJISにおいて抜取表として定められている。
→標本調査
執筆者:真壁 肇
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