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ある地域の局部的な環境条件の評価をある種類の植物によって行うとき、その植物を指標植物、あるいは指示植物という。個々の植物の種類以外に、植物群落がその対象とされることもある。植物は環境のなかで生活し、種族維持を行うわけであるが、植物と環境とは互いに影響を及ぼし合う一種の系とみなせる。したがって、植物が環境諸条件とどのような系的関係(たとえば植物の存否や形態反応)を保っているかを調べることは、環境を知るうえで有効といえる。具体的には、植物相を利用して土壌の肥沃(ひよく)度を識別したり、林床植生によって林地の良否を知るなどがあげられる。地域の合理的な土地利用計画を進めるために、群落調査に基づいた植生図をつくるといったことも行われる。都市化に伴う環境悪化の指標としてコケのほか、スギやアカマツも用いられる。コケでは種類相の変化、スギ、アカマツでは樹勢の変化が研究対象となる。
近年は環境汚染や自然破壊の問題と関連して、指標生物の研究はますます盛んになってきている。河川の生物相によって水質汚濁を判定する方法はその一例である。
[延原 肇]
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…生物の種によって,それが生育できる環境は決まっているが,いくつかの種では環境との相関がはっきりしていて,その種の生育いかんでその場所の環境を推定できることがある。そのような生物を指標生物というが,移動量の大きい動物よりも定着生活をする植物のほうが典型的に環境を指標する例が多いことから,指標植物indicator plantがとり上げられることが多い。このように特定の種が環境を指標する場合,その生物を指標種と限定することがあるが,特定の種だけでなく,群落などが環境を指標することがあり,広義にはそれらを含めて指標生物という。…
※「指標植物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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