出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
唇を他人の身体のある部分または物に接触させ、尊敬、親愛、愛情などを表現する行為。起源については、容器のない時代に母親が幼児に水を口移しに与えたことからとか、母性愛の発露からとか、あるいは性的衝動で行う愛咬(あいこう)から、というような諸説がある。ともかく自分の愛情、親愛、尊敬などを表現する一方、接触の感度のよい唇で相手を感覚的に感じとろうとする欲求から生じたものといえよう。
接吻は、人の面前で挨拶(あいさつ)や儀礼として行うものと、密室的な性愛表現のものとの二つに大別できる。後者の接吻は、人類の普遍的行為で、いうまでもなく夫婦や恋人間で交わされるもの。前者と違って舌や歯を併用する場合もある。これを日本では昔「口吸い」とよび、二つの口のある「呂」の字を隠語的に用い、性愛の秘戯としていた。「くちづけ」なる語が、接吻の意に使われだしたのは明治になってからで、それ以前はまったく性愛と無関係の「口癖」の意味であった。
前者の挨拶や儀礼的なものには、近東から古代ローマに伝わった手や足への接吻がある。これは尊敬と服従の表示で、11世紀の教皇グレゴリウス7世のころ、王や司祭などには手に、教皇だけには足に接吻する取決めができた。足への接吻は最大の表示であった。また接吻は仲直りの儀礼ともなり、原始カトリック教会では「平和の接吻」、中世以来の「和解の接吻」などの名称も生まれた。ヨーロッパでは中世封建領主が、臣下の表彰にとくに唇の上に接吻を与えた。臣下は領主不在のとき、忠誠心を示すため領主邸の戸の扉や閂(かんぬき)に接吻した。
現代欧米社会では、家族間で朝起きたときや夜寝るとき、親しい者たちが会ったり別れたりするとき、頬(ほお)や額に接吻する。男性は、婦人の手に儀礼として接吻する。こうした欧米人に比べ、東洋人には、挨拶や儀礼の接吻の習慣がほとんどない。
[深作光貞]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…相手のからだに唇で触れて愛情や敬意を示す行為。接吻,口づけともいう。性交渉の一部として相手を愛撫するためにする性愛のキスと,情愛や尊敬を表す挨拶のキスとに分けられる。…
※「接吻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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