多様体上に与えられた関数に対して微分概念を単純に拡張することはやさしい。しかし,それをベクトル場に対して行うとき,その拡張が座標系の選び方に依存するという不つごうが生ずる。この不つごうをある種の微分形式(とベクトル場との積)に吸収させることによって微分の一般化である共変微分が不ぐあいなく定義されるが,この目的に用いられる微分形式を接続形式,または略して接続という。あるいは近代的な用法では,ベクトル場に対して種々の方向への共変微分を対応させる操作そのものを接続ということもある。共変微分,したがって接続を作る方法には種々ありうるが,計量から導かれるものがよく知られている。これは,例えば(ユークリッド)空間内の曲面の場合,その隣接点P,Qとそこで与えた接ベクトルX,Yに対して,いったんYをPにおける接空間へ正射影してY′を作り,その上でX-Y′とP-Qとの(ある種の)比を考えて得られる。一方,微分の単純な拡張は,単にX-YとP-Qの比であるから,接続形式はこれらの間の差(とさらにXとの比をとったもの)に対応するとも考えられる。
執筆者:四方 義啓
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