掻き合せる（読み）カキアワセル

デジタル大辞泉

かき‐あわ・せる〔‐あはせる〕【^×掻き合（わ）せる】

［動サ下一］［文］かきあは・す［サ下二］
１ 手で物を寄せ合わせる。「着物の襟元を―・せる」
２ 箏そう・琴・琵琶などで、弦の調子を整えたあと、ためしに簡単な旋律を奏する。
「御琴ども―・せて遊ばすほどに」〈宇津保・藤原の君〉
３ 箏・琴・琵琶などを他の楽器と、または同じ楽器どうしで合奏する。
「大臣おとど、琵琶、弁少将、横笛、面白く―・せて」〈夜の寝覚・五〉

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

かき‐あわ・せる‥あはせる【掻合】

1. 〘 他動詞 サ行下一段活用 〙
   [ 文語形 ]かきあは・す 〘 他動詞 サ行下二段活用 〙
2. ① 別々のものをまぜて一つにする。まぜあわす。
   1. [初出の実例]「手をもて攪合(カキアハセ)て和(か)てて諸の助味を投(い)る」(出典：南海寄帰内法伝平安後期点（1050頃）一)
3. ② 離れているものを寄せて合わせる。
   1. [初出の実例]「少将袖かきあはせ」(出典：平家物語（１３Ｃ前）三)
4. ③ 琴、琵琶などを合奏する。
   1. [初出の実例]「宰相の中将、御簾のもとにて、しゃうの琴つかうまつりつ。あてこそは琵琶をなむ、少しかきあはせらるるなりつる」(出典：宇津保物語（970‐999頃）内侍督)
5. ④ 琴、琵琶などで、弦などの調子を整えたあとで、試みに簡単な一定の旋律を奏する。
   1. [初出の実例]「箏の御琴ひきよせて、かきあはせすさび給ひて」(出典：源氏物語（1001‐14頃）澪標)

出典　精選版 日本国語大辞典