掻き板(読み)カキイタ

デジタル大辞泉 「掻き板」の意味・読み・例文・類語

かき‐いた【×掻き板/×攪き板】

物をたち切るのに用いる板。裁ち物をするときや、元服儀式冠者の髪の端をのせて切りそろえるときに使う。一説に、漆塗りの板で、書いた文字を消して何回も使えるようにしたもの。
「人の家につきづきしきもの…衝立ついたて障子。―」〈・二三五〉

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精選版 日本国語大辞典 「掻き板」の意味・読み・例文・類語

かき‐いた【掻板・攪板】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物を裁ち切るとき、その物の下に敷く板の類。一説に、きぬたを打つとき用いる盤ともいう。
    1. [初出の実例]「かきいた」(出典:枕草子(10C終)二三五)
    2. 「かき板〈略〉思ふに今の世には裁物板をかき板といへり。その物歟。また〈略〉さらばこのかき板は衣打盤にやあらん」(出典:類聚名物考(1780頃)調度部三)
  3. 元服のとき、髪先をのせて切りそぐための柳の木で作った板。
    1. 掻板<b>②</b>〈女用訓蒙図彙〉
      掻板〈女用訓蒙図彙〉
    2. [初出の実例]「めでたいめでたいかき板のほこりを掃てさしむかい」(出典:雑俳・銭ごま(1706))
  4. 漆塗りの板で、書いた文字を消すことができ、何回でも使えるようにしてあるもの。現在の黒板のようなもの。〔改正増補和英語林集成(1886)〕

掻き板の補助注記

の「枕草子」例は、の意とする説もある。

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