掻爬(読み)ソウハ

デジタル大辞泉 「掻爬」の意味・読み・例文・類語

そう‐は〔サウ‐〕【××爬】

[名](スル)治療診断のため、子宮内膜をかきとること。また、人工妊娠中絶のため、子宮内の胎児体外に出す手術

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精選版 日本国語大辞典 「掻爬」の意味・読み・例文・類語

そう‐はサウ‥【掻爬】

  1. 〘 名詞 〙
  2. かゆいところなどを手でかくこと。〔広益熟字典(1874)〕
  3. からだの病的組織などをかきとること。特に、掻爬手術による妊娠中絶の俗称。
    1. [初出の実例]「子宮ゾンデを使って、自分の手で胎児を掻爬(ソウハ)したのである」(出典:海と毒薬(1957)〈遠藤周作〉二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「掻爬」の意味・わかりやすい解説

掻爬
そうは

産婦人科領域でもっとも多く行われている手術の術式で、子宮内膜掻爬と子宮内膜組織診がある。両者はまったく同じ術式であるが、子宮内膜掻爬は治療の、子宮内膜組織診は診断の目的で行われる。

 女性の生理現象である月経は、子宮内膜の剥離(はくり)と増殖を周期的に繰り返すわけで、これによっても子宮内膜がほかの臓器粘膜に比べて強い再生能をもっていることがわかる。掻爬はこの強い再生能を利用して行われる術式である。

[新井正夫]

子宮内膜掻爬

子宮腔(くう)内の清掃と月経周期の再現性を基本目的とする手術で、子宮腔からの異常出血を適応としている。ただし、子宮内膜癌(がん)や絨毛(じゅうもう)癌など悪性内膜疾患、粘膜下筋腫(きんしゅ)や筋腫ポリープなど子宮壁内に腫瘍(しゅよう)がある場合、子宮に炎症性変化が認められる場合には、掻爬によって疾患が悪化したり大量出血をおこすことがあるので、とくに慎重に行う必要がある。

 なお、人工妊娠中絶術として行われる子宮内容掻爬は俗に掻爬とよばれているが、子宮内膜掻爬とはまったく別の術式である。

[新井正夫]

子宮内膜組織診

子宮内膜の病変を病理組織学的に調べるため、日常的に行われている検査の一つである。内診で骨盤臓器に異常が認められないのに子宮出血がある場合、器質的疾患とは別に内膜の悪性変化が子宮出血の原因と推定される場合、子宮内膜機能に異常が認められる場合などに行われる。また、治療目的で行った子宮内膜掻爬の術後にも、子宮内容の組織検査を行うことが望まれる。

[新井正夫]

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百科事典マイペディア 「掻爬」の意味・わかりやすい解説

掻爬【そうは】

体表面または体腔表面の軟組織をかきとること。産婦人科では内膜掻爬器を用い,子宮内膜掻爬術として行われる場合が多い。病的に増殖した内膜の除去,診断のための試験的掻爬などの目的で行う。人工妊娠中絶,各種の流産,胞状奇胎などの場合には胎児,胎盤などを除去するので,一般に子宮内容除去術と呼ぶ。
→関連項目無月経流産

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「掻爬」の意味・わかりやすい解説

掻爬
そうは
curettage

一般的には診断あるいは治療のために,鋭い匙状のキューレットで組織の採取,破壊,あるいは除去を行うこと。人工妊娠中絶を意味することもある。

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