擬制自白(読み)ギセイジハク

デジタル大辞泉 「擬制自白」の意味・読み・例文・類語

ぎせい‐じはく【擬制自白】

民事訴訟口頭弁論または準備手続きにおいて、当事者一方自分にとって不利な相手方の主張した事実を争わず、または口頭弁論期日に出頭しないことにより、自白したものとみなされること。また、その自白。

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精選版 日本国語大辞典 「擬制自白」の意味・読み・例文・類語

ぎせい‐じはく【擬制自白】

〘名〙 民事訴訟口頭弁論、または準備手続で、当事者の一方が相手方の主張した事実を争わず、または口頭弁論期日に出頭しないことによって、その事実を自白したものとみなされること。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「擬制自白」の意味・わかりやすい解説

擬制自白
ぎせいじはく

民事訴訟法上、口頭弁論または弁論準備手続において、当事者が相手方主張の事実を明らかに争わないためにその事実を自白したとみなされること。民事訴訟では原則として弁論主義が採用され、当事者間に争いがある事実のみを証拠によって認定するとする結果擬制自白の場合も、当事者間に争いがないものとして証拠調べが不要とされる。なお、当事者が2回目以降の続行期日に出頭しない場合は、相手方の主張事実を知らないであろうから、争わないことがありえる。そのときも擬制自白が成立する。したがって、裁判所は、擬制自白があれば、その事実の真否を認定せず、ただちに裁判の基礎としなければならない。ただし、争ったか否かは、弁論の全趣旨をも総合して判断する(直接口頭で争わなくとも、態度から争ったと考えられるときは、擬制自白は成立しない)。したがって、口頭弁論終結時までに争えば(ただし、時機に後れたとして、争うことが却下されることがある)自白とみなされないことになる。

[本間義信]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「擬制自白」の意味・わかりやすい解説

擬制自白
ぎせいじはく
fingiertes Geständnis

民事訴訟法において,口頭弁論に出席した当事者が相手方の主張した事実を明らかに争わない場合,その事実を自白したものとみなされること。当事者の一方が口頭弁論期日に欠席した場合にも,同様に扱われる。その結果,その事実は証明を要しないものとなる。なお擬制自白は弁論主義の行なわれる訴訟にだけ認められ,職権調査職権探知の行なわれる分野では認められない。

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世界大百科事典(旧版)内の擬制自白の言及

【自白】より

…また間接事実や補助事実の自白も裁判所を拘束しないとされる。 当事者が口頭弁論または準備手続において相手方の事実主張を明らかに争わないときは,これを自白したものとみなされる(擬制自白)。当事者が口頭弁論期日に欠席したときも同様である。…

※「擬制自白」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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