放射線の人体への影響を調査するため、日米が共同運営する研究機関。1975年に設置され、広島、長崎両市に研究所がある。前身は、米国が47年に設立した原爆傷害調査委員会(ABCC)。被爆者の健康状態のほか、子どもらへの遺伝的な影響を調査している。同規模の研究は世界でも例がなく、成果はエックス線の安全利用など多岐にわたる。
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放射線の人体への影響について調査・研究する目的で設けられた研究機関。放影研と略称される。英語名称はRadiation Effects Research Foundationで、RERFともよばれる。終戦直後の1946年(昭和21)に原子爆弾の被爆者について調査する目的で広島と長崎に設けられた原爆傷害調査委員会(ABCC:Atomic Bomb Casualty Commission)が前身で、厚生省(現、厚生労働省)国立予防衛生研究所の再編とあわせて、1975年に、日米両国が共同して運営する財団法人として新たに設立された。2012年(平成24)公益財団法人に移行。広島研究所と長崎研究所が置かれている。
同研究所ではこれまで、原子爆弾の被爆者の健康調査のほか、放射線が人に及ぼす医学的影響や、癌(がん)などの疾病にかかるリスクに関する調査研究、ならびに放射線防護に関する情報を提供するなど、放射線被曝(ひばく)者医療に力を注いできた。しかし、福島第一原子力発電所事故による内部被曝に対する住民の不安に十分に対処できなかった反省から、新たな将来構想を提示。このなかで、同研究所が蓄積している原子爆弾被爆者の外部被曝に関する健康影響調査などの情報を全世界の研究者に提供するとともに、内部被曝のデータも収集して低線量被曝のリスクを解明し、放射線による慢性影響を明らかにして、国民の不安に対処していくことを掲げている。
[編集部 2016年5月19日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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