故宮博物院[台北](読み)こきゅうはくぶついん[たいぺい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「故宮博物院[台北]」の意味・わかりやすい解説

故宮博物院[台北]
こきゅうはくぶついん[たいぺい]

タイワン(台湾)タイペイ(台北)市にある,中国歴代王朝が保有した芸術品多数を収蔵する博物館。第2次世界大戦後,北京故宮博物院から移したものを中心に収蔵する。所蔵品,文書等は 65万点をこえる。中核となる品々は,かつて中国,北京の紫禁城に所蔵されていたもので,それらはおもに朝の乾隆帝在位 1735~96)の幅広い収集活動の成果であった。これらの芸術品を乾隆帝と後代皇帝は個人所蔵品として宮廷に保有していたが,1925年に国民政府が宮廷を故宮博物院として公共機関に転用した。1930年代に日本が中国北部へ侵攻すると,当時の政府は故宮博物院の収蔵品の一部を南京へ,次いで上海その他へと移送した。これら散逸した文物は第2次世界大戦後,南京に再度集められた。しかし国共内戦末期の 1948~49年,撤退する中国国民党軍により,南京の中央博物院,およびその他の公共文化機関の収蔵品とともに,厳選された品々が台湾へ運ばれ,台中で安置されていた。1965年台北に新設された博物館にそれらの品が集められ,全体をまとめて故宮博物院と呼ぶようになった。故宮博物院の収蔵品は朝から清朝にわたる中国芸術の変遷を物語る。所蔵絵画には,清の各王朝時代の名作絵画が多数含まれており,おそらく世界最高の中国絵画コレクションである。ほかにも青銅器陶磁器翡翠彫刻漆器,ほうろう器,装飾彫刻,刺繍・織物工芸品,書物,書,古文書を大量に収蔵する。

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