文化財トラスト運動(読み)ぶんかざいトラストうんどう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「文化財トラスト運動」の意味・わかりやすい解説

文化財トラスト運動
ぶんかざいトラストうんどう

歴史的建造物,町並み,景観など,文化的価値を有する文化財・歴史的環境の保全を目指す市民運動。日本では高度成長期の 1964年,神奈川県鎌倉市にある鶴岡八幡宮裏山の開発計画がもち上がり,住民イギリスで始まったナショナル・トラストを参考に古都保存運動を展開,事業者を開発断念に追い込んだ。この運動が契機となり,1966年に「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」(古都保存法)が制定された。また長野県南木曽町の妻籠宿における歴史的町並み保存運動では,1983年に妻籠宿保存財団,1989年に事業推進のために妻籠宿保存地区保存基金が設置された。地域住民は「妻籠を守る住民憲章」により自主的な町並み保全に努め,外部の観光資本を導入することなく観光客の誘致にも成功した。全国団体として 1968年に日本ナショナルトラスト,1992年に日本ナショナル・トラスト協会が創設され,各地の自然保護や文化的・歴史的遺産の保護や管理に携わっている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android