日本大百科全書(ニッポニカ) 「文庫(文芸雑誌)」の意味・わかりやすい解説
文庫(文芸雑誌)
ぶんこ
投書文芸雑誌。1895年(明治28)8月~1910年8月。通巻244冊。『少年文集』の後身。発行は初め少年園、のち内外出版協会。記者として河井酔茗(かわいすいめい)、小島烏水(うすい)、千葉江東(こうとう)らが在社。青少年のための詩歌、俳句、漢詩、小説などの投書を中心とした雑誌。とくに詩に特色をもち、酔茗、横瀬夜雨(やう)、伊良子清白(いらこせいはく)らの質朴な詩風が、文庫派と称されるに至った。ほかに烏水の文芸評論、山水紀行も特記される。寄稿家としては窪田空穂(くぼたうつぼ)、平井晩村(ばんそん)、三木露風(ろふう)、北原白秋(はくしゅう)ら数多い。最晩期は俳句雑誌に変貌(へんぼう)した。
[大屋幸世]