文旦漬け(読み)ぼんたんづけ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「文旦漬け」の意味・わかりやすい解説

文旦漬け
ぼんたんづけ

柑橘(かんきつ)類のザボンの皮の砂糖漬けで、鹿児島でボンタン長崎ではザボンといい、それぞれ名物となっている。果名の由来は、1772年(安永1)秋、台風を避けて薩摩(さつま)(鹿児島県)の阿久根(あくね)港に入った清(しん)国船の船長謝文旦(しゃぼんたん)が、メロン大の柑橘類をもたらしたが、果名不詳のまま船長の名をとってボンタンと名づけたといわれる。一方、長崎では1667年(寛文7)に、清国船の船長周九娘がザボンとしてこの果実をもたらした。商品としてザボンの砂糖漬けをつくったのは鹿児島市の文旦堂初代坂之上次助で、1869年(明治2)のことである。ザボンの外皮をはぎ、中皮を糖液で煮る作業は、仕上がりまでに3週間を要する。

[沢 史生


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

土砂災害

大雨や地震が誘因となって起こる土石流・地滑り・がけ崩れや、火山の噴火に伴って発生する溶岩流・火砕流・火山泥流などによって、人の生命や財産が脅かされる災害。...

土砂災害の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android