斉(中国、金国の傀儡国家)(読み)せい

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

斉(中国、金国の傀儡国家)
せい

中国、淮河(わいが)の流域を中心に、漢人劉予(りゅうよ)を皇帝として金国の後援で建てられた傀儡(かいらい)国家(1130~37)。1126年に宋(そう)の都、開封が陥落したあと、ただちに金人の手によって漢人の張邦昌(ちょうほうしょう)を盟主に建てられた楚(そ)国は1年足らずで瓦解(がかい)した。その後、さらに綿密な計算のもとに、金国はその占領地域の安定的確保の前提としてこの間接統治の政策を進めた。このことは当時の南宋の士人や武将たちにも少なからぬ動揺をもたらした。1133年以降は金、宋(南宋)両者の勢力は淮河の線で事実上均衡し、劉予の政策にも意外な不安定要因がみえてきたことからついに廃止された。その地は金国の直接統治となり、そのことは1142年の和議で南宋からも認知された。

[山内正博]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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