出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
入射粒子とある物質が衝突(散乱,反応),すなわち相互作用を起こす確率を示すのに用いられる物理量.面積の次元をもつ.いま,単位体積のなかに含まれる標的核の数がN個である物質に,単位面積につき毎秒I個の粒子が入射したとき衝突を起こした原子核の総数をAとすれば,毎秒1個の原子核当たり衝突を起こす確率,すなわち断面積はA/NIで表される.衝突後の状態の種類を分けて散乱断面積,反応断面積,放射化断面積を定義したり,散乱の方向を分けて微分断面積,また全空間について積分して得られる全断面積を用いたりする.原子核反応の断面積の単位としてはバーン(barn)が用いられる.原子核の関与する過程以外でも,種々の粒子(原子,分子,イオン,電子,光量子)の行う諸過程(化学反応,光吸収など)の起こる確率を断面積で表すことも多い.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…この種の反応は重イオン反応(重イオン衝突)と呼ばれる。 核反応の起こりやすさ,すなわち起こる確率は断面積cross sectionという量で表される。切口1cm2の筒の中に1個の標的核Aがあるとき,1個の粒子aが入射し,衝突する確率がσであれば,σを断面積という。…
…これらの反応は量子力学が支配する世界の現象であり,どの反応が起こるかは確率的にしか定められない。原子核反応の起こりやすさを表すには,〈断面積〉という量が使われる。断面積は〈多数の原子核Aからなる物質の薄い層に1個の中性子が入射したときに核反応が起きる確率は,中性子の入射方向に垂直な面に投影された原子核の断面積がこの面内に占める割合に等しい〉という仮定から計算される。…
…量子力学的粒子の衝突には,衝突の前後で粒子の数や種類の変わる反応と変わらない散乱とがある。これらの量子力学的粒子が衝突を起こす確率を表す量を断面積cross section,または衝突断面積collision cross sectionといい,その衝突が散乱である場合を散乱断面積,反応である場合を反応断面積と呼ぶ。いずれの場合も,1個の入射粒子が多数の散乱体からなる標的物質に入射したとき,標的の単位面積当りの散乱体の数をN,入射粒子が散乱体と衝突を起こす確率をNαとして,αを断面積と定義する。…
※「断面積」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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