新儒家(読み)しんじゅか

百科事典マイペディア 「新儒家」の意味・わかりやすい解説

新儒家【しんじゅか】

現代中国の思想・学術潮流の一つ。辛亥革命以降の近代主義的思潮やマルクス主義思想の台頭のなかで,中国の伝統思想や学術文化の再評価をこころみる知識人の一群があり,その人々を総称して新儒家という。宋代の新しい儒学と区別して,現代新儒家とも呼ばれる。新儒家は,第1世代(馮友蘭熊十力等),第2世代(唐君毅牟宗三等),第3世代(余英時杜維明等)の3世代に区分される。活動の場も,第1世代は大陸,第2世代は香港,台湾,アメリカと多様である。各世代に共通するのは,単に伝統儒教の復興を提唱するのではなく,儒学を西洋哲学,学術思想の展開と対比し,仏教や老荘思想との関連を再評価する志向を強く持っていることである。さらには,韓国,日本などの東アジア他地域での儒学の多様な展開に注目し,その比較をこころみる論者も出てきている。香港を拠点とした第2世代の唐君毅,牟宗三らが1958年に連名で発表した現代新儒家宣言が有名だが,そこには大陸の共産党政権への批判が含まれることから,従来は保守的思想動向ととらえられてきた。しかし近年では,中国国内でも新儒家の人々の著作は広く読まれている。
→関連項目徐復観

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