新撰朗詠集(読み)シンセンロウエイシュウ

デジタル大辞泉 「新撰朗詠集」の意味・読み・例文・類語

しんせんろうえいしゅう〔シンセンラウエイシフ〕【新撰朗詠集】

平安後期の詩歌集。2巻。藤原基俊撰。鳥羽天皇のころ成立か。朗詠用の和歌漢詩を集め、和漢朗詠集に倣って編集したもの。新撰和漢朗詠集。

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精選版 日本国語大辞典 「新撰朗詠集」の意味・読み・例文・類語

しんせんろうえいしゅう‥ラウエイシフ【新撰朗詠集】

  1. 平安末期の詩歌集。二巻。藤原基俊撰。朗詠用のすぐれた和歌や漢詩を集めたもの。一二世紀前半の成立。鳥羽天皇の頃か。藤原公任撰の「和漢朗詠集」を継承し、形式もこれにならっているが、新しい時代の作品が少なく、内容的にはやや劣る。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新撰朗詠集」の意味・わかりやすい解説

新撰朗詠集
しんせんろうえいしゅう

平安後期の歌謡集。2巻。藤原基俊(もととし)撰。1122年(保安3)以後、33年(長承2)までに成立か。『千載佳句(せんざいかく)』『本朝文粋(もんずい)』などの漢詩文集や『拾遺(しゅうい)和歌集』『後拾遺和歌集』などの勅撰集を主要な依拠資料として、朗詠にかなった詩文の佳句543句と和歌203首計746首を収める。『新撰和漢朗詠集』と異称されるように、藤原公任(きんとう)の『和漢朗詠集』の続編的性格をもち、形態、細分類分量ともほぼこれを踏襲し、新味に欠け後世への影響も大きくはないが、中国詩人の入集(にっしゅう)句の減少に反し、日本詩人の句が著しく増加し、収載詩歌の傾向も一条(いちじょう)朝風の温雅な作風が重んじられ、当代の好尚を反映している。『二十巻本類聚歌合(るいじゅううたあわせ)』に代表される藤原忠通(ただみち)による詩歌の類聚運動の一環として成立したとみられる。

[渡辺秀夫]

『『新撰朗詠集・金玉集・臨永和歌』(『日本古典文学影印叢刊12』1981・日本古典文学会)』『柳沢良一「『新撰朗詠集』注解稿1~4」(金沢女子短期大学紀要『学葉』所収・1981.12、83.12、85.1、『金沢大学国語国文』所収・1983.3)』

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百科事典マイペディア 「新撰朗詠集」の意味・わかりやすい解説

新撰朗詠集【しんせんろうえいしゅう】

平安後期の詩歌撰集。1135年以前の成立。上下2巻。内容・体裁ともに藤原公任撰《和漢朗詠集》に倣い,上巻を春,夏,秋,冬の四時部,下巻を雑題部の計5部に分類し,各部を細別して,各項目にみあう漢詩の秀句・和歌を挙げる。上巻には計370首,下巻には計376首を収める。漢詩は《文選》《千載佳句》《和漢朗詠集》,和歌は《後拾遺和歌集》から多く採録している。《和漢朗詠集》とともに親しまれ,中世軍記物や謡曲などに引かれるものも少なくない。

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改訂新版 世界大百科事典 「新撰朗詠集」の意味・わかりやすい解説

新撰朗詠集 (しんせんろうえいしゅう)

平安後期の詩歌撰集。2巻。藤原基俊撰。成立年不詳。藤原公任撰《和漢朗詠集》(寛仁年間(1017-21)に成立か)の続編的性格をもち,部類の名称や配列など,公任の編集方法を模倣するほか,唐人の作では白居易の詩句を重んじ,和歌では《拾遺集》はじめ三代集から多く採る点で共通するが,日本人作の漢詩文は,公任の村上朝重視と異なり,一条朝のものを主とする。以後の日本文学への影響は少ない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新撰朗詠集」の意味・わかりやすい解説

新撰朗詠集
しんせんろうえいしゅう

平安時代後期の歌謡集。藤原基俊が藤原公任 (きんとう) の『和漢朗詠集』にならって,朗詠に適する漢詩文の句 540首と和歌 200首を分類編纂したもの。2巻。成立年未詳。収録された詩句や和歌の作者は『和漢朗詠集』と重なるものが多く,編者が公任ほど権威がなかったこともあって,後世に及ぼした影響も大きくない。

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