平安後期の歌謡集。2巻。藤原基俊(もととし)撰。1122年(保安3)以後、33年(長承2)までに成立か。『千載佳句(せんざいかく)』『本朝文粋(もんずい)』などの漢詩文集や『拾遺(しゅうい)和歌集』『後拾遺和歌集』などの勅撰集を主要な依拠資料として、朗詠にかなった詩文の佳句543句と和歌203首計746首を収める。『新撰和漢朗詠集』と異称されるように、藤原公任(きんとう)の『和漢朗詠集』の続編的性格をもち、形態、細分類、分量ともほぼこれを踏襲し、新味に欠け後世への影響も大きくはないが、中国詩人の入集(にっしゅう)句の減少に反し、日本詩人の句が著しく増加し、収載詩歌の傾向も一条(いちじょう)朝風の温雅な作風が重んじられ、当代の好尚を反映している。『二十巻本類聚歌合(るいじゅううたあわせ)』に代表される藤原忠通(ただみち)による詩歌の類聚運動の一環として成立したとみられる。
[渡辺秀夫]
『『新撰朗詠集・金玉集・臨永和歌』(『日本古典文学影印叢刊12』1981・日本古典文学会)』▽『柳沢良一「『新撰朗詠集』注解稿1~4」(金沢女子短期大学紀要『学葉』所収・1981.12、83.12、85.1、『金沢大学国語国文』所収・1983.3)』
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