新自由主義[社会思想](読み)しんじゆうしゅぎ[しゃかいしそう](英語表記)new liberalism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新自由主義[社会思想]」の意味・わかりやすい解説

新自由主義[社会思想]
しんじゆうしゅぎ[しゃかいしそう]
new liberalism

19世紀後半に勃興したイギリスの理想主義的社会思想。ニューリベラリズムとも呼ばれる。主唱者であるトマス・ヒル・グリーンは,道徳哲学としては,ジョン・ロックやジェレミー・ベンサムなどの功利主義的自由主義(→功利主義)ではなく,イマヌエル・カントやゲオルク・ウィルヘルム・フリードリヒヘーゲルの影響を受けた観念論的,理想主義的自由主義を唱え,社会哲学としては,自由放任主義ではなく国家による保護干渉主義(→社会政策)を訴えた。しかし決して国家専制主義や全体主義に陥らず,個人の自我の実現,個人の道徳的生活の可能な諸条件の整備が国家機能であるとして,自由主義の中心である個人主義を継受した。この思想はイギリスの自由党の労働立法,社会政策に思想的根拠を与え,1906年から第1次世界大戦勃発までの間,ハーバート・ルイス・サミュエル,ウィンストン・レナード・スペンサーチャーチル,デービッド・ロイド・ジョージらによって一連の社会福祉政策が施行された。

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