遊郭用語。〈新艘〉とも書き,なまって〈しんぞ〉という。遊女を舟に見立てたものというが,語源は不明。《あづま物語》(1643)は新しく出た太夫を新造とよんでいるが,後にはかむろ(禿)あがりの,姉女郎の部屋に同居中のものを新造といった。吉原ではかむろが14歳ぐらいになると新造として披露した。このとき歯黒めはするが,まだ振袖を着ていたので〈振袖新造〉といい,姉女郎の名代を勤めたりする見習の遊女であり,修行や人気など時期をみて,袖留をしたうえ部屋を与えて一人前の遊女にした。これとは別に,かむろを経ずに雇われてすぐに新造となるものがあり,この新造は売春をした。また,〈番頭新造〉は袖留をしたまま姉女郎の身辺を世話する役で〈世話新造〉ともいい,京阪ではこれを〈引舟(ひきふね)〉と称した。なお,江戸時代の武家や町家では妻女を御新造(ごしんぞう)とよぶことがあり,またときには結婚前の少女を新造といった。
→花魁(おいらん)
執筆者:原島 陽一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
江戸時代の遊女の一階級で、「しんぞ」ともいう。時代や土地によってその対象は一定しない。寛永(かんえい)(1624~44)ごろには新しく店に出た太夫(たゆう)を新造とよんだが、江戸・吉原では禿(かむろ)の年季を終えて姉女郎についたものを新造といった。吉原の新造は遊女見習いで客をとらせず、作法などを修得すると遊女営業を始めさせた。これを「突出(つきだ)し」といって、衣類などに莫大(ばくだい)な費用をかけた。同じ吉原でも下級遊女屋には新造という下級遊女がおり、また上級遊女の身辺を世話する30歳以上の番頭新造がいた。番頭新造の役をする者を大坂では引舟(ひきふね)と称した。
なお別に、未婚の少女を新造、新妻あるいは姑(しゅうとめ)のいる妻女を御新造(ごしんぞ)とよんだ。
[原島陽一]
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…遊女を舟に見立てたものというが,語源は不明。《あづま物語》(1643)は新しく出た太夫を新造とよんでいるが,後にはかむろ(禿)あがりの,姉女郎の部屋に同居中のものを新造といった。吉原ではかむろが14歳ぐらいになると新造として披露した。…
…太夫は,容色が美しいだけでなく,芸能,文学,遊戯,茶道などの広い範囲にわたる高い教養を備えることを要求された。このため,かむろ(禿)の時代から厳重に仕込まれ,新造(または引舟(ひきふね)),天神と順次に昇進するうちに選びぬかれる。かむろ1000人中で太夫に達するのは3~5人ともいわれ,元禄ごろで遊女100人に対し太夫は2~4人であった。…
※「新造」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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