旋火輪(読み)せんかりん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「旋火輪」の意味・わかりやすい解説

旋火輪
せんかりん

仏教およびインド哲学術語。サンスクリット語アラータチャクラalātacakraの訳で、火のついた木片を勢いよく回すときに見える火の輪をいう。仏教哲学で物が空(くう)としてあることを説くときに比喩(ひゆ)として用いられる。物は火の輪のごとく仮に現れているにすぎないのに、まるで実在するように見える。凡夫はこのことを知らないために物の実在を信じ、物に執着するとされる。夢や幻の比喩と併用されることもある。バラモン哲学者ガウダパーダもこの比喩を利用している。

[定方 晟]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android